開業医のための保険診療の要点

開業医のための保険診療の要点(II. 診療科別の基礎知識)

[14] 内視鏡検査、治療

1 内視鏡検査

各診療科において、外来診療で実施されている主な内視鏡検査です。ただし、入院治療を要する内視鏡検査を除きます。

(1)関節鏡検査(片側) 760点
(2)嗅裂部・鼻咽腔・副鼻腔入口部ファイバースコピー 600点
(3)喉頭ファイバースコピー 600点
(4)中耳ファイバースコピー 240点
(5)気管支ファイバースコピー 2,500点
(6)胃・十二指腸ファイバースコピー 1,140点
(7)大腸内視鏡検査
 1 ファイバースコピーによるもの
  イ S状結腸 900点
  ロ 下行結腸及び横行結腸 1,350点
  ハ 上行結腸及び盲腸 1,550点
 2 カプセル型内視鏡によるもの 1,550点
(8)肛門鏡検査 200点
(9)膀胱尿道ファイバースコピー 950点

2 内視鏡的治療

主に消化器を中心に、外来で実施されている治療です。

  1. 内視鏡的食道及び胃内異物摘出術 3,250点
    内視鏡的食道及び胃内異物摘出術は、食道及び胃内の異物(電池、胃手術時の縫合糸、アニサキス等)を内視鏡(ファイバースコープ)下により摘出した場合に算定します。
  2. 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術
    長径2cm未満 5,000点
    長径2cm以上 7,000点
    1. 家族性大腸線腫症の患者に対して実施した場合に、消化管ポリポーシス加算として年1回に限り5,000点を所定点数に加算できます。
    2. バルーン内視鏡を用いて実施した場合に、バルーン内視鏡加算として450点を所定点数に加算できます。
    3. 病変検出支援プログラムを用いて実施した場合に、病変検出支援プログラム加算として60点を所定点数に加算できます。

3 保険請求の留意点

  1. 内視鏡検査時における「HBs抗原定性・半定量」の算定は認められます。
  2. 内視鏡検査時における「HCV抗体定性・定量」の算定は認められます。
  3. 内視鏡検査時における「梅毒血清反応(STS)定性」の算定は認められます。
  4. 内視鏡検査時の検査として、「HIV-1抗体」、「HIV-1、2抗体定性」、「HIV-1、2抗体半定量」、「HIV-1、2抗体定量」、「HIV-1、2抗原・抗体同時測定定性」又は「HIV-1、2抗原・抗体同時測定定量」の算定は認められません。
  5. 消化管内視鏡検査(ポリープ切除を実施しない場合)の術前検査として、「プロトロンビン時間(PT)」の算定は認められます。
  6. 鎮静下に消化管内視鏡検査を実施する際のモニターとして、「経皮的動脈血酸素飽和度測定」、「心電図」、「呼吸心拍監視」の算定について、当該項目の算定要件を満たしている場合には、当該検査の算定は認められます。
  7. 内視鏡検査時に粘膜点墨法を行った場合は、粘膜点墨法加算(60点)を算定できます。また、内視鏡検査時にインジゴカルミン、メチレンブルー、トルイジンブルー、コンゴーレッド等による色素内視鏡法を行った場合は、粘膜点墨法に準じて算定します。ただし、使用される色素の費用は所定点数に含まれます。
  8. 内視鏡検査当日に、検査に関連して行う注射実施料は別に算定できません。
  9. 内視鏡検査当日に実施された感染症検査は、査定される可能性があります。当該検査の必要性について症状詳記を記載するなど注意する必要があります。
  10. 内視鏡検査時の狭帯域光強調加算(200点)について、悪性腫瘍を疑う病変がなければ、算定は認められません。
  11. 内視鏡を用いた手術を行う場合、これと同時に行う内視鏡検査料は別に算定できません。例えば、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術を算定した場合、内視鏡下生検法は算定できません。
  12. 内視鏡検診と保険診療(生検)について
    内視鏡検診の実施において、異常が発見され医師が治療(生検等検査)を認めた場合、その治療等については保険診療として実施します。ただし、初診料、再診料、検査料等については内視鏡検診で算定済みのため算定することはできません。保険請求する場合は、初診料等がなく生検等を実施するため、摘要欄に「初診料等は他法(内視鏡検診)により算定」などの表記が必要です。
  13. 前回の令和4年度診療報酬改定で、診療報酬明細書の「摘要」欄への記載事項が追加されました。
    内視鏡下生検法(1臓器につき310点)について、下記の①から⑨までのいずれかを選択し記載してください。なお、選択する臓器又は部位がない場合は⑩その他を選択し、具体的部位名等を記載してください。
    1. 気管支及び肺臓
    2. 食道
    3. 胃及び十二指腸
    4. 小腸
    5. 盲腸
    6. 上行結腸、横行結腸及び下行結腸
    7. S状結腸
    8. 直腸
    9. 子宮体部及び子宮頸部
    10. その他
    内視鏡下生検法を行った場合は、検体採取料は1臓器につき310点を算定します。
    「1臓器」の取扱いについては、N000病理組織標本作製に準ずると規定されています。例えば、胃及び十二指腸の生検を行った場合は、1臓器として310点を算定することになります。1回の内視鏡検査で食道、胃・十二指腸の生検を行った場合は、2臓器として620点を算定します。
    病理組織標本作製では、3臓器以上の標本作製を行った場合は、3臓器を限度として算定すると規定されています。そのため、3臓器を超えて生検を行った場合は、査定される可能性があります。

●病理診断 病理標本作製料からの抜粋

<通則>

  • 病理標本作製に当たって、3臓器以上の標本作製を行った場合は、3臓器を限度として算定する。
  • リンパ節については、所属リンパ節ごとに1臓器として数えるが、複数の所属リンパ節が1臓器について存在する場合は、当該複数の所属リンパ節を1臓器として数える。

「N000」病理組織標本作製

1 組織切片によるもの(1臓器につき)

  • 病理組織標本作製について、次に掲げるものは、各区分ごとに1臓器として算定する。
    1. 気管支及び肺臓
    2. 食道
    3. 胃及び十二指腸
    4. 小腸
    5. 盲腸
    6. 上行結腸、横行結腸及び下行結腸
    7. S状結腸
    8. 直腸
    9. 子宮体部及び子宮頸部
  • 病理組織標本作製において、1臓器から多数のブロック、標本等を作製した場合であっても、1臓器の標本作製として算定する。
  • 病理組織標本作製において、悪性腫瘍がある臓器又はその疑いがある臓器から多数のブロックを作製し、又は連続切片標本を作製した場合であっても、所定点数のみ算定する。
  • 当該標本作製をヘリコバクター・ピロリ感染診断を目的に行う場合の保険診療上の取扱いについては、「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」(平成12年10月31日保険発第180号)に即して行うこと。

4 令和6年度診療報酬改定における、新規・改定項目

「主な改定項目」

  1. 内視鏡用テレスコープを用いた咽頭画像等解析(インフルエンザの診断の補助に用いるもの) 305点
    内視鏡用テレスコープを用いた咽頭画像等解析(インフルエンザの診断の補助に用いるもの)は、6歳以上の患者に対し、インフルエンザの診断の補助を目的として薬事承認された内視鏡用テレスコープを用いて咽頭画像等の取得及び解析を行い、インフルエンザウイルス感染症の診断を行った場合に算定できます。ただし、本検査は、発症後48時間以内に実施した場合に限り算定することができます。
  2. 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 病変検出支援プログラム加算 60点
    病変検出支援プログラム加算(60点)が新設され、病変検出支援プログラムを用いて実施した場合に所定点数に加算できます。大腸内視鏡検査を実施する際に、大腸内視鏡動画から大腸ポリープの持つ特徴を解析し検出支援を行うプログラム医療機器のうち、大腸内視鏡検査に関し専門の知識及び経験を有する医師が用いた場合に、用いない場合と比較して診断精度が上昇することが示されていると認められた製品を用いて診断を行い、診断されたポリープを切除した場合に、患者1人の一連の大腸内視鏡検査につき1回に限り算定できます。なお、本加算は、内視鏡検査に関する専門の知識及び5年以上の経験を有する医師により実施された場合に算定することができます。本加算の算定に当たっては、手術の概要を診療録に記載し、大腸内視鏡動画から大腸ポリープの持つ特徴を解析し検出支援を行うプログラム医療機器を使用している画面の写しを診療録に添付しなければなりません。
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