新規開業医のための保険診療の要点

新規開業医のための保険診療の要点(各論)

[2-1] 開業における留意事項

I かかりつけ医

「かかりつけ医」とは日本医師会・四病院団体協議会合同提言(平成25年8月)により「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義され「かかりつけ医機能」についても具体的に述べられています。
近年の診療報酬改定では改定の基本方針としてかかりつけ医機能の評価が取り上げられており、「機能強化加算」「小児かかりつけ医診療料」「地域包括診療料」などの点数が設定されています。一方、財務省は医療費の「適正化」の施策としてかかりつけ医の「制度化」を求めており、令和4年4月の財政制度分科会においても「かかりつけ医機能の要件を法制上明確化したうえで、これらの機能を備えた医療機関をかかりつけ医として認定する」と提言しています。
こういった中、令和4年4月に日本医師会において、かかりつけ医に関する考え方として「国民の信頼に応えるかかりつけ医として」があらためて取りまとめられました。これは、かかりつけ医機能を果たしていく医師の覚悟を示したものであり、国民に分かりやすいものとするため、できるだけ専門用語を避けて作成しています。日本医師会の従来のスタンスとの違いについては(1)かかりつけ医は患者が医師を表現する言葉である、(2)患者ごとにかかりつけ医は異なり、患者にふさわしい医師が誰かを数値化して、測定することはできない、(3)患者が信頼できる医師がかかりつけ医である。これらのことを明確に示しています。

国民の信頼に応えるかかりつけ医として 2022年4月 公益社団法人日本医師会

日本医師会の思い

「かかりつけ医」とは、患者さんが医師を表現する言葉です。「かかりつけ医」は患者さんの自由な意思によって選択されます。どの医師が「かかりつけ医」かは、患者さんによってさまざまです。患者さんにもっともふさわしい医師が誰かを、数値化して測定することはできません。だからこそ、わたしたち医師は、心をこめてひとりひとりの患者さんに寄り添います。そうして患者さんに信頼された医師が、「かかりつけ医」になるのです。患者さんと「かかりつけ医」の信頼関係にもとづいて、全国でさまざまな形のかかりつけ医機能が発揮されています。わたしたち医師は、かかりつけ医機能をさらに深化させるとともに、より温かみのあるものにしていきます。

1 「かかりつけ医」の努め

わたしたち医師は、患者さんに信頼される「かかりつけ医」になるべく、これまで以上にかかりつけ医機能を発揮し、誠意をもって、患者さんを包括的かつ継続的に支えていきます。
患者さんに、いつでも、なんでも相談していただけるよう、しっかりとコミュニケーションをとって診察します。診察の結果をわかりやすい言葉で伝え、患者さんのライフスタイルを理解したうえで患者さんと治療目標を共有します。必要なときには、適切なタイミングで適切な専門の医師や医療機関につなぎます。そのために日頃から、地域の医師たちとの対話を深め、患者さんをチームとして支えます。
いつでも安心していただけるよう、かかりつけ医を中心に地域の医師がチーム一丸となって患者さんを支えます。外来へのアクセスが困難な患者さんのために、在宅医療やオンライン診療など、患者さんのそばに寄り添える方法を選択します。
日々、新しい医療技術の研鑽を積み、患者さんおよびご家族とともに最善の治療を選択します。
患者さんの意思を尊重し、ご家族とともに、患者さんの尊厳ある生き方を支えます。
予防接種や健康診断を担い、生活のこと、仕事のことも含め幅広く患者さんおよびご家族からの健康相談を受け、必要なときに適切な医療につなげます。
患者さんの主治医意見書の作成をはじめ、患者さんの希望を受け止めて、地域の介護サービスや福祉サービスにつなぐなど、地域包括ケアシステムの中で求められる役割を果たします。
患者さんがもっとも安心・安全かつ効率的に最善の医療に到達できるよう医療のデジタル化を進めます。患者さん個人を守ることを絶対の条件として、また、地域の方々がより効果的に予防・健康づくりを進められるよう、医療情報を活用します。

2 地域社会におけるかかりつけ医機能

わたしたち医師はお互いに協力し、さまざまな職種の方とも協力して、医師それぞれの特性を活かして地域住民の健康を支えます。主に医師会活動として行っています。
健康相談、予防接種、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健などの社会的な活動や、警察医などの行政活動に協力します。
災害が起きた地域の医療支援活動に参加し、被災者の方の健康管理や診療などを担います。
24時間365日、安心して相談、受診していただけるよう地域の医師同士で連携する体制をとるとともに、在宅当番医や休日夜間急患センターの業務を分担します。

3 地域の方々に「かかりつけ医」をもっていただくために

医療法では「国民は、良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、医療提供施設相互間の機能分担及び業務の連携の重要性についての理解を深め、医療提供体制の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるよう努めなければならない」と定められています。日本医師会は、国民の方に「かかりつけ医」をもっていただくための判断材料を提供します。
地域の方々が、「かかりつけ医」になりうる医師を探すことができるよう、それぞれの医師が担っている機能、専門分野や強みのある分野などについて、情報をわかりやすく公開します。現在、47都道府県で「医療機能情報提供制度(医療情報ネット)」が整備され、全国すべての医療機関の診療科目や対応可能な治療等が公開されています。日本医師会は国や都道府県医師会と協力して、患者さんにとってさらにわかりやすい情報提供を進めます。
地域医師会は、市民向け講座などを通じて、住民の方々とともに、地域の予防・健康づくりを進めます。
日本医師会は、必要なときに適切な医療にアクセスできる現在の仕組みを守ります。そして「かかりつけ医」として、患者さんにさらに信頼していただけるよう努めていきます。

≪かかりつけ医機能≫

かかりつけ医は、日常行う診療においては、患者の生活背景を把握し、適切な診療及び保健指導を行い、自己の専門性を超えて診療や指導を行えない場合には、地域の医師、医療機関等と協力して解決策を提供する。

  1. かかりつけ医は、自己の診療時間外も患者にとって最善の医療が継続されるよう、地域の医師、医療機関等と必要な情報を共有し、お互いに協力して休日や夜間も患者に対応できる体制を構築する。
  2. かかりつけ医は、日常行う診療のほかに、地域住民との信頼関係を構築し、健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健等の地域における医療を取り巻く社会的活動、行政活動に積極的に参加するとともに保健・介護・福祉関係者との連携を行う。また、地域の高齢者が少しでも長く地域で生活できるよう在宅医療を推進する。
  3. 患者や家族に対して、医療に関する適切かつわかりやすい情報の提供を行う。

II アドバンス・ケア・プランニング(ACP)

ACP(Advance Care Planning)とは、将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、本人を主体に、そのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、本人による意思決定を支援するプロセスのことです。
死期のいかんではなく、最期まで尊厳を尊重した人間の生き方に着目した最適な医療・ケアが行われるべきだという考え方により、厚生労働省は、平成27年3月に「終末期医療」を「人生の最終段階における医療」という表現に改めました。(日本医師会ホームぺージより)
日本医師会生命倫理懇談会では、「終末期医療に関するガイドライン」を見直し、「人生の最終段階における医療・ケアに関するガイドライン(令和2年5月)」へ改訂しました。
その中では「人生の最終段階における医療・ケアのあり方」として、(1)本人が自らの意思を明らかにできるときから、家族等及び医療・ケアチームと繰り返し話し合いを行い、その意思を共有する中で、本人の意思を尊重した医療・ケアを提供することが基本的な考え方である。(2)担当医・かかりつけ医は、いざという場合、本人が自らの意思を明らかにできない状態になる可能性があることから、特定の家族等を自らの意思を推定する者としてあらかじめ定めておくよう本人に勧めることが望ましい。同時に、本人が意思表示できる間に、人生の最終段階における医療・ケアに関する本人の意思や希望を繰り返し確認するACPの実践をすることも重要である。と述べています。
令和4年度の診療報酬改定で全ての在宅療養支援診療所について「厚生労働省『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』等の内容を踏まえた適切な意思決定支援に係る指針を作成していることを要件とする」となるなど、かかりつけ医にとってACPは必須のものとなっています。

図1

III 超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き

日本医師会から「超高齢社会におけるかかりつけ医のための適正処方の手引き」が出されています。これは多剤併用による薬物有害事象を防ぐための処方の考え方を中心に解説した手引きとなっています。
総論としての「安全な薬物療法」では「高齢者は多病のために多剤併用になりやすい。
老年科外来の多施設調査では平均4.5種類、レセプト調査では70歳で平均6種類以上服用していた。多剤併用の問題は、薬剤費の増大、服用の手間などを含むQOLの低下、そして、最も大きな問題は、薬物相互作用および処方・調剤の誤りや飲み忘れ、飲み間違いの発生確率増加に関連した薬物有害事象の増加である。有害事象に直接つながらなくても、多剤処方に起因する処方過誤や服薬過誤は医療管理上問題である。」などと記載され、各論として「認知症」「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧」について具体的に提案されています。患者さんの服薬管理を行う際の参考としてご活用ください。

図2

IV 医療安全管理指針

平成19年4月に第5次医療法改正が施行され、これまで施行規則で規定されていた医療安全に係る事項が、法律の条文で明記されることになりました。合わせて、病院、有床診療所に義務づけられていた「医療安全管理指針」の整備等の対策が無床診療所にも義務づけられることになりました。さらに「指針」に盛り込むべき事項も追加されております。
日本医師会の作成した「医療安全管理指針のモデルについて」(改訂版)では無床診療所についてもモデルが掲載されています。「基本理念」「医療安全委員会」「報告等にもとづく医療に係る安全確保を目的とした改善方策」「安全管理のための指針・マニュアルの整備」「医療安全管理のための研修」「事故発生時の対応」などについて記載されています。これを参考にしていただき、医療安全管理指針を定めてください。また、院内感染対策指針の作成も必須となっていますので、同様に日本医師会のモデルを参考に作成してください。

図3

V 個人情報の保護

「個人情報の保護に関する法律」の第15条では「個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。」とされ、第16条で「個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。」と規定されています。診療所における医療に関する個人情報ももちろん例外ではありません。日本医師会が次のようなポスターを作成していますので、これを参考にしていただき院内掲示をお願いします。

個人情報保護 日本医師会ポスター図4
  • ※日本医師会メンバーズルームからダウンロードできます。

VI 診療情報の提供(カルテ開示)

診療情報の提供については平成15年の厚生労働省医政局長通知により「診療記録の開示も含めた診療情報の提供については、患者と医療従事者とのより良い信頼関係の構築、情報の共有化による医療の質の向上、医療の透明性の確保、患者の自己決定権、患者の知る権利の観点などから積極的に推進することが求められてきたところである。また、生活習慣病等を予防し、患者が積極的に自らの健康管理を行っていく上でも、患者と医療従事者が診療情報を共有していくことが重要となってきている。」とされ、さらに「患者の自己決定権を重視するインフォームド・コンセントの理念に基づく医療を推進するため、患者に診療情報を積極的に提供するとともに、患者の求めに応じて原則として診療記録を開示すべきである」と診療情報は原則開示である旨が表明されています。
日本医師会も「診療情報の提供に関する指針」を制定しています。その中で「診療記録等の開示による情報提供」として「医師および医療施設の管理者は、患者が自己の診療録、その他の診療記録等の閲覧、謄写を求めた場合には、原則としてこれに応ずるものとする。」と、やはり原則開示としています。その他・診療記録等の開示を求めうる者・診療記録等の開示を求める手続き・費用の請求・診療記録等の開示などを拒みうる場合・遺族に対する診療情報の提供などについて述べられています。日本医師会の指針を参考にして自院の診療情報の提供に関する指針を策定しておくと良いでしょう。

*診療情報の提供に関する指針 日本医師会
https://www.med.or.jp/doctor/rinri/i_rinri/000318.html
「診療情報 日本医師会」で検索

VII 就業規則

常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。
なお、従業員10人未満の医療機関でも就業規則を作成しておくことで従業員とのトラブル対応がスムーズになると思います。なお、労働施策総合推進法において今まで大企業のみが義務化されていたパワーハラスレント対策が2022年4月1日から中小企業に対しても義務化されます。厚労省の「モデル就業規則」にはパワーハラスメントについても記載されていますので参考にしてください。

就業規則
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/
zigyonushi/model/index.html

「モデル就業規則 厚労省」で検索

図5

VIII 「病院の言葉」を分かりやすく

国立国語研究所の「病院の言葉」委員会が「『病院の言葉』を分かりやすくする提案を発表しています。そこでは「医療の分野では、患者中心の医療の考え方が広まり、医療者は十分に説明をし、患者は説明を理解し納得した上で自らの医療を選ぶことが求められています。ところが、医療者の説明に出てくる言葉が分かりにくいことが、患者の理解と判断の障害になっています。」と述べ、病院の言葉を分かりやすく伝えるための工夫を医療者に対して提案しています。
「エビデンス」については、「エビデンス」の認知率は23.6%、理解率は8.5%であり一般にはほとんど理解されない言葉であるので、患者に対しては使わないで説明する方がよい。「エビデンスがある薬」と言いたい場合は「よく効くことが研究によって確かめられている薬」、「エビデンスに基づく治療」は「研究の結果、これがよいと証明されている治療」など、文脈に応じて日常的な表現で言い換えるのがよい。と提案しています。
「ADL」については、「『ADL』というアルファベット略語は、患者にとってなじみがない(認知率29.7%)。また、意味を理解している人は極めて少ない(理解率9.3%)。非常に分かりにくい語なので、使わないようにしたい言葉である。高齢者はアルファベット略語を分かりにくく感じる人が多いので、特に配慮したい。」としています。さらに「『日常生活動作』と言い換えることが一般的だが、この言い換え語は場合によって誤解を生むおそれがある。例えば『ADLが自立している』などという文脈で、単に『日常生活動作』と言い換えると、日常生活動作が自立しているので、通常の日常生活が送れると誤解される場合がある。通常の日常生活ではなく、日常生活を送るための最低限の動作を指すということが、きちんと伝わる言い換えや説明を心掛けたい。」と提案しています。
その他「日常語で言い換える」「明確に説明する」「重要で新しい概念の普及をはかる」の分類で56項目が紹介されています。

出典:国立国語研究所「『病院の言葉』を分かりやすくする提案」
国立国語研究所「病院の言葉」委員会
https://www2.ninjal.ac.jp/byoin/
「病院の言葉」で検索

IX 後発医薬品の使用について

後発医薬品(ジェネリック医薬品)とは、先発医薬品(新薬)の特許が切れた後に販売される、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認された医薬品です。
厚生労働省では後発医薬品の使用推進として、平成25年4月に「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定し取り組みを進めております。さらに、平成27年6月の閣議決定において、2017年(平成29年)後発医薬品の使用割合を70%以上とするとともに、2018年度(平成30年度)から2020年度(平成32年度)末までの間のなるべく早い時期に80%以上とするという新たな目標が定められました。
この80%目標の具体的な達成時期については、その後、2021年(令和3年)6月の閣議決定において、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性確保を図りつつ、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上」とする新たな目標が定められました。
東京都も「東京都後発医薬品安心使用促進協議会」を設置し、毎年「後発医薬品安心使用促進に係る取組」を定め、後発医薬品の使用推進を進めています。東京都内における後発医薬品使用割合は78.3%で、全国で47位となっています。(全国平均81.7%)【R3.8月現在】
また、診療報酬でも後発医薬品の推進を図る取扱いが設けられています。

1 一般名処方加算[処方箋加算]《外来(院外処方)》

処方された医薬品のうち、後発医薬品のあるすべての医薬品(2品目以上)が一般名処方されている場合には一般名処方加算1(7点)を、1品目でも一般名処方されている場合には一般名処方加算(5点)を、処方せんの交付1回につきそれぞれ処方せん料に加算できます。一般名処方加算を算定する場合、診療録に一般名か一般名が把握可能な製品名のいずれかを記載しなければなりません。
【注意】医薬品の供給が不安定な状況をふまえ、令和5年4月から12月までの期間限定で加算点数をさらに2点増点する特例措置が設けられております。なお、特例措置の算定にあたっては既存の施設基準に加えて、追加の施設基準(一般名処方の趣旨を医療機関の見やすい場所に掲示していること等)を満たす必要があります。

表1
診療報酬区分 主な内容 点数
一般名処方加算 1 交付した処方箋に含まれる医薬品のうち、後発医薬品のある全ての医薬品が一般名処方である場合(後発医薬品のある医薬品が2品目以上に限る) 7点
一般名処方加算 2 交付した処方箋に含まれる医薬品のうち、後発医薬品のある医薬品が1品目でも一般処方である場 5点

2 外来後発医薬品使用体制加算[処方料加算]《診療所:外来(院内処方)》

外来後発医薬品使用体制加算については、後発品置換率の区分により加算の区分及び点数が定められています。令和4年度診療報酬改定において、置換率の基準が見直され、全ての区分について率の引き上げが行われました。
【注意】医薬品の供給が不安定な状況をふまえ、令和5年4月から12月までの期間限定で加算点数をさらに2点増点する特例措置が設けられております。なお、特例措置の算定にあたっては既存の施設基準に加えて、追加の施設基準(一般名処方の趣旨を医療機関の見やすい場所に掲示していること等)を満たす必要があります。

表2
診療報酬区分 令和4年3月まで 令和4年月以降
後発品置換率 後発品置換率 点数
外来後発医薬品使用体制加算1 85%以上 90%以上 5点
外来後発医薬品使用体制加算2 75%以上 85%以上 4点
外来後発医薬品使用体制加算3 70%以上 75%以上 2点
  • 本加算を算定するためには施設基準の届出が必要となります。

<施設基準>(抜粋等により説明)

  1. 薬剤部門又は薬剤師が後発医薬品の品質等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ採用を決定する体制が整備されていることとされています。
    薬剤師がいない診療所であっても、薬剤部門に医師等が配置され(兼務も可能)、後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえて後発医薬品の採用を決定する体制が整備されていれば算定できます。
    薬剤部門となる委員会等を設置しなければなりません。また、届出にあたり、「名称」「目的」「構成員の職種・氏名等」「検討する内容」「開催回数等」を記載した概要を添付しなければなりません。
  2. 調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品について、使用薬剤の規定する規格単位ごとに数えた数量(以下「規格単位数量」という。)に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が、区分の割合を満たしていることとされています。
  3. 調剤した薬剤(一部、除外医薬品あり。)の規格単位数量に占める後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量の割合が50%以上であることとされています。(カットオフ値)

3 後発医薬品使用割合等の算定方法

  1. 算定の基礎
    1. 規格単位数量は、患者に処方したすべての薬剤(内用薬、外用薬-歯科では抗生剤(錠、カプセル)、消炎鎮痛剤(錠)、含嗽剤(g、ml)等)の合計数です。
    2. 患者に処方したすべての後発品のある先発医薬品および後発医薬品の規格単位数量を計算します。後発医薬品のない先発医薬品は含まれません。
    3. 患者に処方したすべての医薬品を対象に、「診療報酬において加算等の算定対象となる後発医薬品」等について」に記載のある「算定対象となる後発医薬品」の規格単位数量を計算します。

      注: 本通知には「算定対象となる後発医薬品」「算定対象とならない後発医薬品」「算定対象となる後発医薬品のある先発医薬品」「算定対象とならない後発医薬品のある先発医薬品」が記載されていますが、記載されていない薬剤はカウントの対象外となります。

  2. カットオフ値の割合
    カットオフ値の割合は、上記の算定の基礎における②を①で除した%となります。(② / ①)%
  3. 後発医薬品の割合
    後発医薬品の割合は、上記の算定の基礎における③を②で除した%となります。(③ / ②)%

【算定例】

患者1:A 後発医薬品63錠(後発品有)、B 先発医薬品 28錠(後発品無)
患者2:C 先発医薬品56錠(後発品有)、A 後発医薬品 42錠(後発品有)、D 先発医薬品20ml(後発品無)
患者3:E 後発医薬品40g(後発品有)
患者4:B 先発医薬品21錠(後発品無)、C 先発医薬品 42錠(後発品有)
  1. 63錠+28錠+56錠+42錠+20ml+40g+21錠+42錠 = 312
  2. 63錠+56錠+42錠+40g+42錠 = 243
  3. 63錠+42錠+40g+42錠 = 187
◎カットオフ値(② / ①)%:243 / 312 = 78%
◎後発医薬品の割合(③ / ②)%:187 / 243 = 77%
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