新規開業医のための保険診療の要点

新規開業医のための保険診療の要点(各論)

[2-4] 在宅医療

I 「かかりつけ医」機能と在宅医療

1 「かかりつけ医」機能の充実と在宅医療の必要性

「かかりつけ医」とは、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義されています。さらにかかりつけ医機能は医療的機能と社会的機能に分けられます。

  1. 医療的機能は以下のとおりとなります。
    1. 日常行う診療においては、患者の生活背景を把握し、自己の専門性に基づき、医療の継続性を重視した適切な診療を行い、自己範疇を超えるケースに対しては、地域における連携を駆使して、的確な医療機関への紹介(病診連携・診診連携)を行い、患者にとって最良の解決策を提供する
    2. 自らの守備範囲を医師側の都合で規定せず、患者のもちかける保健、医療、福祉の諸問題に関し、幅広く相談できる医師として全人的視点から対応する
  2. 社会的機能は以下のとおりとなります。
    1. 日常行う診療の他には、地域住民との信頼関係を構築し、健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健等の地域における医療を取り巻く社会的活動、行政活動に積極的に参加するとともに保健・介護・福祉関係者との連携を行う。また、地域の高齢者が少しでも長く地域で生活できるよう在宅医療を推進する。

2 「かかりつけ医」と地域包括ケアシステム

今後、わが国において必要な医療は2つあります。1つは高度急性期医療であり、もう1つは地域に密着した医療です。このうち、前者のニーズは人口や若年層の減少により低下していきますが、後者のニーズは超高齢社会の進行に伴ってますます増加していきます。地域に密着した医療の担い手は、かかりつけ医機能を持つ中小病院や有床診療所と専門医が開業するため質が高く、設備も整っており、検査、診断、治療からときに投薬、健診まで高齢者に便利なワンストップサービスが可能な、日本型診療所です。それらが互いに協力して在宅医療を支えるとともに、在宅においての訪問看護、訪問リハビリや訪問介護などの多職種連携を通じて医療と介護をつなぐ必要がありますが、そのリーダーとなるのは「かかりつけ医」です。わが国の「かかりつけ医」は総合力を持った専門医であるので、わが国の在宅医療においては内科系や外科系の「かかりつけ医」が眼科や耳鼻咽喉科などの「かかりつけ医」とチームを組むことにより、在宅においてもより専門的な医療を提供することが可能となります。世界に類をみない超高齢社会となるわが国においては、すべての方々を在宅で診ることは不可能です。幸いわが国には身近に入院もできる中小病院や有床診療所、高齢者に便利なワンストップサービスが可能な日本型診療所が存在します。それらの貴重な既存資源を活用するとともに、重度者は特養や老健などの施設入所も利用する日本型高齢者ケアシステムが必要であり、それが全国の市町村ごとや人口10~20万人ごとに整備されれば、わが国の『地域包括ケアシステム』が完成することになります。超高齢社会においては、がん・脳卒中・心臓病を克服した方でも、生きがいや役割を喪失すれば、廃用症候群や認知症が進行します。わが国は健康寿命でも世界一でありますが、今後は生きがい就労を含む高齢者の就労や社会参加が必要となります。高齢者にとって住みやすいまちづくりは障害者を含むすべての世代の人々にとっても住みやすいまちづくりです。廃用症候群や認知症の進行をできるだけ遅らせるには、リハビリや認知症ケアの役割が大きくなります。特にできるだけ長く住み慣れた所で暮らすためには栄養管理が重要です。徐々にフレイル・サルコペニアになると病気になりやすく、かつ治りにくくなるが、具合が悪くなったら在宅医療を受けたり、ときに中小病院や有床診療所へ入院することになります。やがて寝たきりに近い状態になって在宅が困難となれば、施設へ入所する方も出てきます。2人に1人ががんに罹り、3人に1人ががんで亡くなる時代となりますが、がんと診断された時点から緩和ケアを導入することができます。世界でもっともすぐれた医療・介護制度を持ち、世界でもっとも長寿のわが国における、人生の最期にふさわしい看取りが求められています。全国において市区町村ごとや人口10~20万人ごとに地域性に応じたサイズで、『郡市区医師会』が中心になって、行政と連携して中小病院や有床診療所の入院や、老健や特養への入所も、自宅やサ高住などでの在宅も活用した日本型高齢者ケアシステム=『地域包括ケアシステム』が確立し、“顔の見える関係”の中で看取りまで行えるようになれば、救急車で施設からいきなり救命救急センターに搬送されるようなこともなくなり、高度急性期医療と地域に密着した医療それぞれの本来の役割が効率的に果たせるようになると思われます。

3 かかりつけ医の義務と求められていること

「かかりつけ医」には、高齢社会への対応が求められています。前期高齢者に対しては、臓器疾患に伴う高血圧、糖尿病、高脂血症、がん対策などのヘルスケアなどは深い専門性を有したうえで、総合的な診療能力を持ち、幅広い視野でみる必要があります。特定の疾患、科の専門だけではなく、地域住民のあらゆる疾患の情報を共有し、統合しなければなりません。体の一部だけを診察することではなく、全体的多疾患に対応することが求められています。このような総合的な診療能力を有することは、「かかりつけ医」の要件である必要性が生じてくるのです。65歳以上になると、平均して4個以上の疾患を持っています。したがって、自分の能力を超えるような問題については、専門医への紹介・相談が必要になりますが、それでも幅広い疾患に対応する必要があります。疾患のうち75%は、かかりつけ医による対応が可能といわれております。さらには、地域住民が生まれてから死に至る間に抱える医療を、患者や、患者の家族の人生とも向き合いながらカバーする必要性も考えられます。それは患者の身体、臓器のみをみるのではなく、精神的、心理的問題、社会的問題にも対応できるということです。それは具体的には生活機能の維持・向上をマネジメントし、暮らしの場でQOLの向上を支援することです。今ある病気のみではなく、将来予想される病気に対しても予想しながらアプローチすることが求められ、頻度が高い慢性疾患は、継続してみることが重要です。

4 かかりつけ医の重要な役割は以下のとおり

  1. 「かかりつけ医」は高齢社会における健康寿命の確保に重要な役割を果たす
  2. 総合的な診療能力を有することはかかりつけ医の持つべき要件であり、地域医療の大半を支える
  3. 深い専門性を有したうえで、総合的な診療能力を持ち、幅広い視野で地域を診る医師
  4. 地域においては特定の疾患、科の専門だけではなく、地域住民のあらゆる疾患を包括する
  5. 地域住民の生まれてから、死に至る間に様々な患者が抱える医療をカバーする
  6. 患者や家族の人生にもかかわる
  7. 生活機能の維持、向上をマネジメントする
  8. 暮らしの場でQOLの向上を支援する
  9. 認知症、リハビリテーション、がん緩和ケアにかかわる
  10. 在宅医療は外来医療のその先の医療

5 治療のためだけでなく生活を支えるために

そのために、かかりつけ医は何をするべきかですが、予防も含めたすべての医療的問題に「かかりつけ医」として関与し、患者・家族とともに医療的問題の解決を考えてみます。今後、後期高齢者の増加が要介護者の増加をもたらします。患者が要介護になったとき、その多くは、高齢に伴って生じる疾患であり、通院が不可能となります。その予防的対応とともに、「かかりつけ医」には在宅で療養する高齢者への訪問診療が求められます。今後の超高齢時代では、国民医療費の50%以上がこのような後期高齢者に使われます。複数の慢性疾患を持った高齢者対策として、単に外来診療のみではなく、訪問診療が必要となります。医師による訪問診療は、在宅医療の出発点であり基本です。しかし、訪問診療のみでは高齢者を支えることはできません。訪問看護、訪問歯科診療、訪問薬剤管理、訪問リハビリテーションの統合的利用により、十分な機能を発揮させることが求められます。在宅医療は外来医療のその先の医療です。
外来患者の継続的医療が在宅医療であり、それが終末期まで続く、すなわち在宅医療とは、患者の生活そのままを支える医療です。そして、その目的は疾病の治療、延命からADL・QOLの向上へ、対象は疾患から障害へと変化します。訪問することによる、認知症、脳卒中後遺症、虚弱、関節疾患、骨折後後遺症、糖尿病、心血管疾患、COPDなどに対する日常生活支援が必要になります。また、その場合には、介護が必要になります。医療、介護の連携といわれますが、単なる連携では利用者にとって最適なものになりにくい状態がみられます。むしろ「かかりつけ医」には、統合的な機能の中心としての役割を果たすべきときが来ているといえます。さらに、ここに終末期医療が加わります。がんの終末期医療としては緩和ケアに対して習熟が求められます。がん以外の高齢者では摂食嚥下ができなくなり、終末期の最善の医療への視点と、その対応が求められます。脳卒中の後遺症に伴う機能低下に対してのリハビリの知識も必要となります。「かかりつけ医」が持つリハビリ知識により、廃用症候群を防止可能にするのです。またこの知識は、高齢者の肺炎などの治療後に伴うADLにも応用が可能です。認知症への対応はその生活障害と、家族を支援することが重要です。BPSDへの早期の気づきにより、重度化の防止が可能になります。単に外来医療では気づくことが不明な環境因子も、訪問することにより見つけることができるのです。

6 治療のためだけでなく生活を支えるために

在宅医療はその家族を知ることも重要な視点です。我が国の家族形態としては高齢者世帯、高齢者単独世帯が増加していますが、要介護者からみた主な介護者は配偶者が25%、子供が17.9%、子供の配偶者が14.3%です。また性別にみると男性が28%、女性が約72%となっています。さらには要介護者と同居している主介護者の年齢についてみると、男性では65.8%、女性では55.8%が60歳以上であり、いわゆる老老介護が相当数存在しています。介護保険を利用しているとはいえ、家族の精神的、身体的負担は大きいものがあります。「かかりつけ医」にはその負担を超えるものを探すこと、家族に寄り添うことから始めることが求められます。地域で暮らすことを可能にするために、『地域包括ケア』における在宅医療が求められています。在宅医療は『地域包括ケアシステム』の主要な柱です。地域において医療と介護が統合しなければ、このシステムは機能しません。その中心的役割がかかりつけ医の在宅医療なのです。
かかりつけ医が行う在宅医療は一人で行えるものではありません。地域で支えるあらゆる職種、家族との共同作業です。しかし、その主軸は「かかりつけ医」と患者です。
患者、そしてその家族もまた、「かかりつけ医」にさまざまなことを“託す”関係性が求められています。また、病院から退院する患者に対しては、病院スタッフとの相互理解が求められます。急性期病院からの退院時には、病気を持った生活者の視点への転換を考えることにより、地域住民の病院から地域への流れも可能になります。たとえ、病気を持ったとしても生活の継続性を保障することが、これからの超高齢時代にふさわしい目的であり、そのためには、円滑な地域との統合が必要となるでしょう。
今後の医療は『連携』から『統合医療』としての考えが必要です。病院医療においても求められるのは単に臓器疾患の医療のみではなく、退院後の生活を見据えた医療であり、在宅では統合ケアとしての横のつながりが必要とされます。生活の向上のために、“治す医療”から“支える医療”があり、そのための地域包括ケアの統合された関係性があってこそ、一人一人の高齢者を救うことが可能となります。

7 地域包括ケアにおける「かかりつけ医」の在宅医療

  1. 在宅医療を地域で支える多職種、同職種スタッフによる連携
  2. 病院、在宅医療スタッフの相互理解、円滑な連携
  3. 医療、介護、福祉、生活支援を一元的に提供するトータルコーディネーターの役割
  4. 超高齢者に応じた医療対応
  5. 高齢者住宅、グループホームなど、多様な暮らしの中で支える
  6. 生活の質の向上のために地域社会における役割を果たす
  7. 治す医療から支える医療へ
  8. 連携から統合へ

在宅医療は、病院医療の延長線上にあって、医療の質を評価してきた従来の医療とは違います。患者の立場からすれば、医療において最も求められるのは自分の病気が的確な治療により治ることです。したがって質の高い医療は、患者がよく治る医療としています。しかしながら在宅医療は、先端医療では対応不可能な病気を持った患者に対応しており、従来の医療の質の評価の延長線上の範囲で語ることはむずかしいものです。このことは医療のパラダイム変化として語られ、キュアからケアと言われています。その主軸は、治癒不可能な病態を持った患者を、いかに終末期まで生活の質を確保しながら医療対応するかにあります。的確な治療により治ることではなく、的確な対応の中に、満足度を高めることです。往診は病院・診療所を問わず第一線の医療機関にとって、欠くことのできない医療形態であり、入院、外来医療と比べ医療の本質においてなんら変わるわけではありませんが、外来診療の延長では済まされない“あるもの”を持っています。往診は医療形態としては救急医療と外来診療の中間に位置するものだと思いますが、こういった特徴も往診の“あるもの”を指しています。この『往診』という言葉を『訪問診療』に変えてみます。“あるもの”とは何か?臨床医は経験的に習熟した勘や人生観で外来診療を補い、一方病院では専門医療にとどまっていますが、今後は超高齢時代にふさわしい医療の展開が必要となります。すなわちそれは“新しい価値観を持ち、終末期医療にも対応可能な医療”です。それが在宅医療なのです。在宅医療は今までの医療対応のみではなく、社会性、環境、家族にも対応した医療であると思います。私たちはこれまで患者個々の死生観や価値観、思想、信条、信仰を踏まえて考えることを、習熟した医師の能力の中で行ってきました。終末期の医療やケアに伴って起こりうる病状経過については、個人の人生観で対応してきたのです。今、終末期医療に対して、現在の社会倫理の中で最善の医療が求められています。在宅医療は“あるもの”に向かう第3の医療なのです。

8 「かかりつけ医」と多職種協働

地域住民が住み慣れた地域で必要な医療・介護サービスを受けつつ安心して暮らせる生活を実現できる社会を目指すためには、地域医療を担う地域医師会やかかりつけ医が地域の基幹病院との機能分担や医療連携をこれまで以上に図ることが必要となってきます。また、医療・介護連携のキーパーソンである「かかりつけ医」を中心とした在宅医療への取り組み強化は、今後の超高齢社会における地域医師会活動としての重要な課題であることに疑いはありません。その実現のためには、医師一人ひとりの意識改革と共通認識の醸成がまずは不可欠です。さらに、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、退院支援看護師や医療ソーシャルワーカー、介護支援専門員や介護サービス事業者など多くの関係者との連携と協働については、地域医療を担うすべての医師の責務として、一層の取り組みを行っていかなければなりません。

9 地域包括ケアシステムと地域ケア会議

高齢者が要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるように、保険者である市区町村や都道府県が地域特性を考慮しながら、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムを作り上げることが求められています。地域包括ケアシステムの実態はシステムではなくネットワークです。その中心となるのは市区町村や地域包括支援センターであったり、地域医師会や老人保健施設などであったりと、地域の実情においてさまざまであることが考えられますが、少なくとも、市区町村が大きなかかわりを持つことは当然のことです。地域包括ケアを推進するためには、地域包括支援センターが『地域ケア会議』を開催することにより多職種協働を推進していくことも大変重要なファクターです。地域ケア会議とは、①地域にある高齢者支援にかかわる団体や機関の代表者による会議、②多職種の専門職が参加する困難事例の検討会議、と定義付けられ、地域の団体・機関のネットワーク作りを進めるとともに、ケアマネジャーへの教育的支援を目的としています。また、地域ケア会議を普及、定着させるべく、例えば在宅医療連携拠点事業に参加している市町村や医療機関などが、近隣の市町村の開催する地域ケア会議に専門職などを派遣することなども地域の実情に勘案し検討されています。

10 地域ケア会議とかかりつけ医

  1. 地域包括ケアはシステムというよりネットワークであり、多職種の顔の見える関係作りが大切です。
  2. 医師会役員などが「かかりつけ医」の代表として全体会議に参加します。
  3. 処遇困難事例などに対し、医療職として地域ケア会議に参加します。
  4. 地域包括ケアセンターや居宅介護支援事業所などとの連携の必要性は理解されていますが、その地域格差は大きいです。
  5. 地域ケア会議への積極的なかかわりが、多職種協働推進の引き金となることが期待されています。

11 他の職種が「かかりつけ医」に求めること

  1. 他の職種が「かかりつけ医」に求めること(各職種に共通する要望)
    1. 各職種が在宅の現場で果たす役割について正しく理解し、積極的に活用してほしい。
    2. 「かかりつけ医」がリーダーとなって、多職種連携に積極的に取り組んでほしい
    3. 関係職種をよきパートナーと認識して、患者情報の共有をはじめ、信頼して活用してほしい
    4. サービス担当者会議など、関係職種との意見交換の場に定期的に参加し、治療方針・見解などを示してほしい
    5. 看取りに対する理解を深め、在宅看取り体制の整備に取り組んでほしい
  2. 「かかりつけ医」に求めること(訪問看護師)
    1. 訪問看護と介護の違いを理解し、地域の訪問看護ステーションを活用してほしい
    2. 共同診療を行っている連携医師と訪問看護師との連携について、かかりつけ医と同様に情報共有できるようにしてほしい
    3. 終末期には、利用者の状態に合わせた医療を行い、家族の同意の下で自然な看取りができるかかりつけ医であってほしい
    4. ターミナル期は、医師と訪問看護師とのよりよい連携により、死の兆候の確認を訪問看護師に委ねることで、夜間往診の負担が軽減されるとともに、多くの方の在宅看取りが可能となります
  3. 「かかりつけ医」に求めること(退院支援看護師・MSW)

    ・退院支援看護師から
    1. 退院前カンファレンスを見据えて関係職種との定期的な話し合いの場の設定の必要性
    2. リビングウィルが不明瞭なまま救急搬送される患者に望まれない医療が提供されることについては、在宅療養時から「かかりつけ医」と患者・家族とのコンセンサスがほしい
    ・地域医療連携室に勤務する医療ソーシャルワーカーから
    1. 地域医師会などに総合病院の外来コーディネーターのような医療ソーシャルワーカーを置くことで、医療・福祉・介護の隙間を埋める仕事ができる
  4. 「かかりつけ医」に求めること(介護支援専門員)
    1. 介護保険のルールや介護サービスの内容をしっかりと理解してほしい
    2. 専門的な医学用語等について解りやすく話してほしい
    3. 多忙なかかりつけ医に対する遠慮があるため依頼や連絡がしづらいので、連絡方法のルール化など、連絡しやすい体制を作ってほしい
    4. 地域医師会単位で「かかりつけ医」と介護支援専門員との意見交換の場を持ってほしい
    5. 患者情報の共有化がチームとして必要であることを理解してほしい
  5. 「かかりつけ医」に求めること(歯科医師・薬剤師)

    ・歯科医師の立場から
    1. 「かかりつけ医」には訪問時に口腔内も診てほしい
    2. 歯科疾患と全身疾患との関係を理解・周知してほしい
    ・薬剤師の立場から
    1. 重複・併用禁忌・飲み忘れなど、適切な薬剤管理のため、薬剤師をもっと活用してほしい
    2. 既往歴、疾患名、検査データなど患者情報を知ることで、患者に則した服薬指導やハイリスク医薬品の管理が可能となる
    3. 退院時カンファレンスや訪問指導の際に薬剤師の参加を考慮してほしい

12 「かかりつけ医」に対する後方支援

  1. 訪問・外来機能
    1. 自分の専門外の疾患に対応してもらう各科の専門医の支援
    2. 虐待や独居、孤立または生活支援に対応する地域包括支援センターや民生委員の支援
    3. 精神疾患や感染症の問題における保健所の支援
    4. 認知症の人の成年後見制度など、弁護士やボランティアの支援
  2. 入院機能の確保
    1. 病院においては在宅患者の急性病変時の入院対応があげられます。急性期対応病院、在宅療養支援病院はその任に積極的にかかわらなくてはなりません。また、地域医療支援病院も同様です。
    2. がんの緩和ケアについては、地域がん拠点病院に緩和ケア病棟があり、疼痛コントロールを含めたトータルペインの緩和について支援してもらうことができます。疼痛コントロール不良の際、入院してもらい、再度在宅で療養することも可能です。
    3. また、終末期ケアでは、在宅療養を経てホスピスを利用する方もいます。
    4. そのほか、病状や介護環境により施設利用となる方もいるため、日頃より本人、家族と話し合っておくことが重要です。

13 後方支援病院に求められること

  1. まずは緊急時の対応がスムースに行えることが必要です。とりあえず受け入れてもらい、入院を含めその後のトリアージをすることが求められます。
  2. 専門職による最新の専門知識の講習や支援により、「かかりつけ医」および関連多職種の資質の向上に貢献することが期待されます。
  3. 在宅患者のレスパイト入院への対応を行ってもらいます。介護現場では、基本的にショートステイ利用を行っていますが、医療度の高い患者の対応は病院が受け入れるべきです。
  4. 緩和コントロールについても、緩和ケア病棟でなくとも、一般病院で対応可能なスタッフを養成しておくことも必要です。
  5. 緊急に必要な資材の提供について、「かかりつけ医」はさまざまな資材を用意しているわけではないので、提供していただけると大きな安心となると思われます。常時そのようなシステムがつくられれば素晴らしいことです。
  6. 検査についても、待ち時間がないようにスムースに行えるようなシステムが必要です。
  7. 地域の勉強会などに講師を派遣し、質の担保を図ることも必要であり、これは地域連携にも有効です。

14 在宅医療における『看取り』について以下の説明等が必要

  1. 終末期に起こり得るさまざまな病状について、わかりやすく家族に説明しておく
  2. 不安時、急変時の対応連絡網について話しておく
  3. 後方待機病院との連携を説明し、安心感を提供する
  4. 関係親族とも情報を共有し、終末期対応の意見の不一致がないようにしておく
  5. 死亡時の対応(連絡方法、診断書の発行、エンゼルケアなど)につき看護師を含め説明しておく

II 訪問診療医療機関に求められること

1 厚生労働省等の求める内容

厚生労働省は、個々の役割や医療機能、それを満たす各関係機関、さらにそれら関係機関相互の連携により、在宅医療が円滑に提供される体制を構築することを目的とし、以下を構築することを求めています。

  1. 円滑な在宅療養移行に向けての退院支援が可能な体制
    1. 入院医療機関と在宅医療に係る機関との協働による退院支援の実施
  2. 日常の療養支援が可能な体制
    1. 多職種協働により患者やその家族の生活を支える観点からの医療の提供
    2. 緩和ケアの提供
    3. 家族への支援
  3. 急変時の対応が可能な体制
    1. 患者の病状急変時における往診や訪問看護の体制及び入院病床の確保
  4. 患者が望む場所での看取りが可能な体制
    1. 住み慣れた自宅や介護施設等、患者が望む場所での看取りの実施

また、上記(1)から(4)の体制を構築するにあたり、地域における多職種連携を図りながら、24時間体制で在宅医療が提供されることが重要です。

2 各医療機能と連携

在宅医療の提供体制に求められる医療機能を下記(1)から(4)に示します。

  1. 円滑な在宅療養移行に向けての退院支援が可能な体制【退院支援】
    1. 在宅医療に係る機関の円滑な連携により、切れ目のない継続的な医療体制を確保すること
    2. 退院支援の際には、患者の住み慣れた地域に配慮した在宅医療及び介護、障害福祉サービスの調整を十分図ること・退院後、患者に起こりうる病状の変化やその対応について、退院前カンファレンスや文書・電話等で、在宅医療に係る機関との情報共有を十分図ること
    3. 在宅医療に係る機関に求められる事項・患者のニーズに応じて、医療や介護、障害福祉サービスを包括的に提供できるよう調整すること・在宅医療や介護、障害福祉サービスの担当者間で、今後の方針や病状に関する情報や計画を共有し、連携すること・高齢者のみではなく、小児や若年層の患者に対する訪問診療、訪問看護、訪問薬剤指導等にも対応できるような体制を確保すること
  2. 日常の療養支援が可能な体制【日常の療養支援】
    1. 目標・患者の疾患、重症度に応じた医療(緩和ケアを含む。)が多職種協働により、できる限り患者が住み慣れた地域で継続的、包括的に提供されること
    2. 在宅医療に係る機関に求められる事項
      • ア 相互の連携により、患者のニーズに対応した医療や介護、障害福祉サービスが包括的に提供される体制を確保すること
      • イ 医療関係者は、地域包括支援センターが地域ケア会議において患者に関する検討をする際には積極的に参加すること
      • ウ 地域包括支援センター等と協働しつつ、在宅療養に必要な医療や介護、障害福祉サービス、家族の負担軽減につながるサービスを適切に紹介すること
      • エ がん患者(緩和ケア体制の整備)、認知症患者(身体合併症等の初期対応や専門医療機関への適切な紹介)、小児患者(小児の入院機能を有する医療機関との連携)等、それぞれの患者の特徴に応じた在宅医療の体制を整備すること
  3. 急変時の対応が可能な体制【急変時の対応】
    1. 目標・患者の病状急変時に対応できるよう、在宅医療を担う病院・診療所、訪問看護事業所及び入院機能を有する病院・診療所との円滑な連携による診療体制を確保すること
    2. 在宅医療に係る機関に求められる事項
      • ア 病状急変時における連絡先をあらかじめ患者やその家族に提示し、また、求めがあった際に24時間対応が可能な体制を確保すること
      • イ 24時間対応が自院で難しい場合も、近隣の病院や診療所、訪問看護事業所等との連携により、24時間対応が可能な体制を確保すること
      • ウ 在宅医療に係る機関で対応できない急変の場合は、その症状や状況に応じて、搬送先として想定される入院医療機関と協議し入院病床を確保するとともに、搬送については地域の消防関係者へ相談する等連携を図ること
    3. 入院医療機関に求められる事項・在宅療養支援病院、有床診療所、在宅療養後方支援病院、二次救急医療機関等において、連携している医療機関(特に無床診療所)が担当する患者の病状が急変した際に、必要に応じて受入れを行うこと・重症等で対応できない場合は、他の適切な医療機関と連携する体制を構築すること
  4. 患者が望む場所での看取りが可能な体制【看取り】
    1. 目標・住み慣れた自宅や介護施設等、患者が望む場所での看取りを行うことができる体制を確保すること
    2. 在宅医療に係る機関に求められる事項
      • ア 人生の最終段階に出現する症状に対する患者や家族の不安を解消し、患者が望む場所での看取りを行うことができる体制を構築すること
      • イ 患者や家族に対して、自宅や住み慣れた地域で受けられる医療及び介護、障害福祉サービスや看取りに関する適切な情報提供を行うこと
      • ウ 介護施設等による看取りを必要に応じて支援すること
    3. 入院医療機関に求められる事項・在宅医療に係る機関で看取りに対応できない場合について、病院・有床診療所で必要に応じて受け入れること

III 診療報酬上の留意点等

1 往診料

往診料は、患者又は家族等患者の看護等に当たる者が、保険医療機関に対し電話等で直接往診を求め、当該保険医療機関の医師が往診の必要性を認めた場合に、可及的速やかに患家に赴き診療を行った場合に算定できるものであり、定期的ないし計画的に患家又は他の保険医療機関に赴いて診療を行った場合には算定できません。

  1. 別に厚生労働大臣が定める時間において入院中の患者以外の患者に対して診療に従事している場合に緊急に行う往診、夜間(深夜を除く。)又は休日の往診、深夜の往診を行った場合には、在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院(地域において在宅療養を提供する診療所がないことにより、当該地域における退院後の患者に対する在宅療養の提供に主たる責任を有する病院であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出たものをいいます。)等の区分に従って、緊急往診加算、夜間・休日往診加算、深夜往診加算を算定することができます。
    ※表3「往診の評価」参照
  2. 緊急往診加算は、保険医療機関において、標榜時間内であって、入院中の患者以外の患者に対して診療に従事している時に、患者又は現にその看護に当たっている者から緊急に求められて往診を行った場合に算定できます。

2 在宅患者訪問診療料

  1. 在宅患者訪問診療料(I)は、在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者に対して、患者の入居する有料老人ホーム等に併設される保険医療機関以外の保険医療機関が、定期的に訪問して診療を行った場合の評価であり、継続的な診療の必要のない者や通院が可能な者に対して安易に算定できません。
  2. 在宅での療養を行っている患者とは、保険医療機関、介護老人保健施設又は介護医療院で療養を行っている患者以外の患者です。
  3. 「在宅患者訪問診療料(I)」の「同一建物居住者の場合」は、同一建物居住者に対して保険医療機関の保険医が同一日に訪問診療を行う場合に、患者1人につき所定点数を算定します。同一建物居住者とは、基本的には、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の者(往診を実施した患者、末期の悪性腫瘍と診断した後に訪問診療を行い始めた日から60日以内の患者、又は死亡日からさかのぼって30日以内の患者を除く。)のことです。
  4. 保険医療機関の保険医が、同一建物に居住する当該患者1人のみに対し訪問診療を行う場合は、「同一建物居住者以外の場合」の所定点数を算定します。
  5. 同居する同一世帯の複数の患者に対して診察をした場合など、同一の患家において2人以上の患者を診療した場合には、(3)の規定にかかわらず、1人目は、「同一建物居住者以外の場合」を算定し、2人目以降の患者については、初診料・再診料のみを算定することになります。
  6. 訪問診療を実施する場合には、以下の要件を満たすこと
    1. 当該患者又はその家族等の署名付の訪問診療に係る同意書を作成した上で診療録に添付すること
    2. 訪問診療の計画及び診療内容の要点を診療録に記載すること。「在宅患者訪問診療料(I)」の2を算定する場合には、主として診療を行う医師である保険医が所属する他の保険医療機関が診療を求めた傷病も記載すること
    3. 訪問診療を行った日における当該医師の当該在宅患者に対する診療時間(開始時刻及び終了時刻)及び診療場所について、診療録に記載すること

3 在宅療養指導管理料

  1. 在宅療養指導管理料は、当該指導管理が必要かつ適切であると医師が判断した患者について、患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該医師が療養上必要な事項について適正な注意及び指導を行った上で、当該患者の医学管理を十分に行い、かつ、各在宅療養の方法、注意点、緊急時の措置に関する指導等を行い、併せて必要かつ十分な量の衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に算定できます。
    ただし、当該保険医療機関に来院した患者の看護者に対してのみ当該指導を行った場合には算定できません。
    なお、衛生材料等の支給に当たっては、以下の(2)又は(3)の方法によることも可能です。
  2. 衛生材料又は保険医療材料の支給に当たっては、当該患者へ訪問看護を実施している訪問看護事業者から、訪問看護計画書(「訪問看護計画書等の記載要領等について」)により必要とされる衛生材料等の量について報告があった場合、医師は、その報告を基に療養上必要な量について判断の上、患者へ衛生材料等を支給できます。
    また、当該訪問看護事業者から、訪問看護報告書(「訪問看護計画書等の記載要領等について」)により衛生材料等の使用実績について報告があった場合は、医師は、その内容を確認した上で、衛生材料等の量の調整、種類の変更等の指導管理を行う事が可能です。
  3. また、医師は、(2)の訪問看護計画書等を基に衛生材料等を支給する際、保険薬局(当該患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行っており、地域支援体制加算又は在宅患者調剤加算の届出を行っているものに限る。)に対して、必要な衛生材料等の提供を指示することができます。
  4. 在宅療養指導管理料は1月1回を限度として算定し、特に規定する場合を除き、同一の患者に対して同一月に指導管理を2回以上行った場合は、第1回の指導管理を行ったときに算定することになります。
  5. 2以上の保険医療機関が同一の患者について同一の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行っている場合には、特に規定する場合を除き、主たる指導管理を行っている保険医療機関において当該在宅療養指導管理料を算定することになります。
  6. 同一の保険医療機関において、2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数を算定します。
  7. 入院中の患者に対して、退院時に退院後の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合には、退院の日1回に限り、在宅療養指導管理料の所定点数を算定できます。この場合においては、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療にて行った指導管理の費用は算定できません。また、死亡退院の場合又は他の病院若しくは診療所へ入院するため転院した場合には算定できません。
  8. 退院した患者に対して、当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、当該患者について当該保険医療機関において退院日に在宅療養指導管理料を算定していない場合に限り、在宅療養指導管理料を算定することができます。ただし、退院日に在宅療養指導管理料を算定した保険医療機関以外の保険医療機関において在宅療養指導管理料を算定する場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に当該算定理由を記載しなければなりません。このため、在宅療養指導管理料を算定する場合は、患者に対し当該月の入院の有無を確認してください。
  9. 在宅療養を実施する保険医療機関においては、緊急事態に対処できるよう施設の体制、患者の選定等に十分留意してください。特に、入院施設を有しない診療所が在宅療養指導管理料を算定するに当たっては、緊急時に必要かつ密接な連携を取り得る入院施設を有する他の保険医療機関において、緊急入院ができる病床が常に確保されていることが必要です。
  10. 当該在宅療養を指示した根拠、指示事項(方法、注意点、緊急時の措置を含む。)、指導内容の要点を診療録に記載しなければなりません。
  11. 保険医療機関が在宅療養指導管理料を算定する場合には、当該指導管理に要するアルコール等の消毒薬、衛生材料(脱脂綿、ガーゼ、絆創膏等)、酸素、注射器、注射針、翼状針、カテーテル、膀胱洗浄用注射器、クレンメ等は、当該保険医療機関が提供することになります。なお、当該医療材料の費用は、別に診療報酬上の加算等として評価されている場合を除き所定点数に含まれ、別に算定できません。
  12. 関連学会より留意事項が示されている在宅療養については、指示、管理に当たってはこれらの事項を十分参考としてください。

4 特定保険医療材料

初診、再診又は在宅医療において、患者の診療を担う保険医の指示に基づき、当該保険医の診療日以外の日に訪問看護ステーション等の看護師等が、当該患者に対し点滴又は処置等を実施した場合は、当該保険医療機関において、点滴又は処置等に用いた特定保険医療材料(当該患者に対し使用した分に限る。)の費用を算定できます。なお、この場合にあっては、当該特定保険医療材料が使用された日を診療報酬明細書の摘要欄に記載しなければなりません。

表1
機能強化型在支診・在支病 在支病 (参考)
在宅療養
後方支援病院
単独型 連携型
クリニック 病院 クリニック 病院
全ての
在支診・
在支病に
求められる
基本的な基準
1:24時間連絡を受ける体制の確保
2:24時間往診体制
3:24時間訪問看護体制
4:緊急時の入院体制
5:連携医療機関への情報提供
6:年1回の看取り数等報告
(新)7:ACP指針の作成
●許可病床数200以上
●在宅医療提供医療機関と連携し、24時間連絡体制を確保
●連携医療機関の求めに応じた入院希望患者の診療を24時間実施(病床確保を含む)
※やむを得ず入院させることができない場合には、対応可能病床に紹介
●連携医療機関との間で、3香月に1回以上、患者の診療情報を交換し、入院希望患者一覧を作成
全ての在支病に求められる基準
(基本的な基準に上乗せ)
1:許可病床数200未満(医療資源の少ない地域では280床未満)または半径4km以内にクリニックが存在しない
2:往診担当医が、当該病院の当直担当医と別
1:許可病床数200未満(医療資源の少ない地域では280床未満)または半径4km以内にクリニックが存在しない
2:往診担当医が、当該病院の当直担当医と別
機能強化型に求められる基準 在宅医療担当の常勤医師が
3人以上
在宅医療担当の常勤医師が
連携内で3人以上
過去1年間の緊急往診10件以上 次のうちいずれか1つ
過去1年間の緊急往診10件以上
・(新)在支診などからの入院要請に応えられる後方病床を常に確保し、要請による緊急受け入れが直近1年間で31件以上
・(新)地域包括ケア1・3の取得
1年間の緊急往診実績が連携内で10件以上、各医療機関で4件以上 次のうちいずれか1つ
・過去1年間の緊急往診10件以上
・(新)在支診などからの入院要請に応えられる後方病床を常に確保し、要請による緊急受け入れが直近1年間で31件以上
・(新)地域包括ケア1・3の取得
過去1年間の看取りまたは超・準超重症児の医学管理が4件以上 過去1年間の看取り4件以上、かつ各医療機関で超・準超重症児の医学管理2件以上
(新)市町村実施の在宅医療・介護連携推進事業等で在支診以外のクリニックと連携する・地域の24時間体制での在宅医療提供に係る積極的役割を担うことが望ましい
表2
24時間要件
往診体制 訪問看護体制 連絡体制
単独 連携 単独 連携 単独 連携
在支診 機能強化型 単独型 × ×
連携型 ○(<10 ※1 ○(<10 ※1 ○(<10 ※1
通常の在支診 ×
在支病 機能強化型 単独型 × ×
連携型 ○(<10 ※1 ○(<10 ※1 ○(<10 ※1
通常の在支診 × ×
(新)在宅療養移行加算1 ○(※2) ○(※2)
(新)在宅療養移行加算2 ※3 ○(※2)
  • ◎:必ず満たす必要あり ○:どちらでも良い ×:要件を満たさない -:施設基準上の要件ではない
  • ※1:連携医療機関数が10未満である
  • ※2:「地域医師会等の協力を得て規定する体制確保する」ことでも良い。協力しても良い旨であり、24時間の体制は在支診等と同等に満たす必要がある
  • ※3:「24時間の往診体制」は求めないものの、「市町村や地域医師会との協力によって、往診が必要な患者に対して、自院または連携する他医療機関が往診を提供する体制を有している」ことを要件として求める
表3
往診の評価について
○ 往診料 720点

患者又は家族等患者の看護等に当たる者が、保険医療機関に対し電話等で直接往診を求め、当該保険医療機関の医師が往診の必要性を認めた場合に、可及的速やかに患家に赴き診療を行った場合の評価。
※定期的ないし計画的に患家又は他の保険医療機関に赴いて診療を行った場合には算定できない。

往診料の加算について

● 点数

機能強化型在宅療養支援診療所・病院 左記以外の在宅療養支援診療所・病院 在宅療養支援診療所・病院以外
病床あり 病床なし
緊急往診加算850750650325
夜間・休日往診加算1,7001,5001,300650
深夜往診加算2,7002,5002,3001,300

● 要件

時間帯その他の要件
緊急往診加算 標榜時間内であって、入院中の患者以外の患者に対して診療に従事している時(概ね午前8時から午後1時) 往診の結果、急性心筋􄼷塞、脳血管障害、急性腹症等が予想される場合
夜間・休日往診加算午後6時から午前8時/日曜日及び国民の祝日に関する法律第3条に規定する休日
深夜往診加算午後10時から午前6時
①在宅療養支援診療所・病院とその紹介先医療機関(※1)②在宅療養後方支援病院とその連携医療機関(※2)それぞれ併算定できない在宅療養指導管理料の組合せ 表4
C102 在宅自己腹膜灌流指導管理料 C102-2 在宅血液透析指導管理料
C103 在宅酸素療法指導管理料 C107 在宅人工呼吸指導管理料
C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料
C107-3 在宅ハイフローセラピー指導管理料
C104 在宅中心静脈栄養法指導管理料 C105 在宅成分栄養経管栄養法指導管理料
又は
C105-2 在宅小児経管栄養法指導管理料
C105 在宅成分栄養経管栄養法指導管理 C105-2 在宅小児経管栄養法指導管理料
C105-2 在宅小児経管栄養法指導管理料 C105-3 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料
又は
C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料
C105-3 在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料 C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料
C107 在宅人工呼吸指導管理料 C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料
C107-3 在宅ハイフローセラピー指導管理料
C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料 C107-3 在宅ハイフローセラピー指導管理料
C108 在宅悪性腫瘍等患者指導管理料 C110 在宅自己疼痛管理指導管理料
C108-2 在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料 C110 在宅自己疼痛管理指導管理料
C109 在宅寝たきり患者処置指導管理料 C114 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料
  • ※1:在宅療養支援診療所・病院から紹介を受けた医療機関では、在宅療養支援診療所・病院で実施するものとは異なる在宅療養指導管理(上記の関連性の高い組合せを除く)を行った場合は、その紹介月に限り、それぞれの医療機関で在宅療養指導管理料が算定できる(紹介月以外では、在宅療養支援診療所・病院と紹介先医療機関において、異なる在宅療養指導筥理料の併算定は不可)。
  • ※2:在宅療養後方支援病院では、15歳未満の人工呼吸器使用患者等に限り、在宅医療を提供する連携医療機関と異なる在宅療養指導管理(上記の関連性の高い組合せを除く)を行った場合に、それぞれの医療機関で在宅療養指導管理料が算定できる(15歳末満の人工呼吸器使用患者等以外では、在宅療養後方支援病院と連携医療機関において、異なる在宅療養指導管理料の併算定は不可)。
  • ◎(出典:医学通信社「レセプト総点検マニュアル2022年版」)
在宅療養指導管理料の算定患者に対する注射の算定可否 表5
C101
在宅自己注射指導管理料
C104
在宅中心静脈栄養法指導管理料
C108在宅悪性腫瘍患者等指導管理料
又は
C108-2在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料
外来往診訪問診療外来、往診訪問診療外来往診訪問診療
GOOO
皮内、皮下及び
筋肉内注
GOO1
静脈内注射
GOO4
点滴注射
GOO5
中心静脈注射
××
GOO6
植込型力テーテルによる中心静脈注射
××
  • ○:算定可。
  • △:当該管理料に係る注射の費用は算定不可(その注射に伴い使用する薬剤・特定保険医療材料も含めて算定できない。)ただし、当該管理の対象となる薬剤以外については算定可)。
  • ×:算定不可。
  • ◎(出典:医学通信社「レセプト総点検マニュアル2022年版」)
在宅自己注射指導管理に伴う「注入器」「注射針」の費用の算定 表6
注入器の種別 医療機関が支給 院外処方による支給の可否 対象となる薬剤の
単位(例)
注入器
加算
注射針
加算
ディスポーザブル
注射器
× 「ディスポーザブル注射器」
院外・院内いずれも支給可
40単位
1mL バイアル
万年筆型
注射器
「注射針」は、院外・院内いずれも支給可
「注入器」は、院内でのみ支給可
300単位1筒
注入器一体型
キット製剤
× 「注射針」は、院外・院内いずれも支給可
「注入器」の費用は薬価に含まれている
300単位1キット
  • 備考1 院外処方により支給できる器材は、調剤報酬点数表に定める「ディスポーザブル注射器」、「万年筆型注入器用注射針」のみである。
  •   2 院外処方により、ディスポーザブル注射器、注射針を支給した場合は、「注入器加算」「注射針加算」は算定できない。
  •   3「注入器加算」の対象となる上記A、B以外の注入器については省略した。
  • ◎(出典:医学通信社「レセプト総点検マニュアル2022年版」)
在宅療養指導管理料の算定患者に対する処置の算定可否一覧
○:算定可 ×:算定不可
表7
C1O2
在宅
自己腹膜灌流
指導管理料
C1O2-2
在宅
血液透析
指導管理料
C103
在宅
酸素療法
指導管理料
C105
在宅
成分栄養経管
栄養法
指導管理料
C1O5-2
在宅
小児経管
栄養法
指導管理料
C106
在宅
自己導尿
指導管理料
C1O7
在宅
人工呼吸
指導管理料
C107-3
在宅
ハイフロー
セラピー
指導管理料
C109
在宅
寝たきり
患者処置
指導管理料
C112
在宅
気管切開
患者
指導管理料
C112-2
在宅
喉頭摘出
患者
指導管理料
JOOO 創傷処置 ××※4×
JOO1-7 爪甲除去(麻酔を要しないもの) ×××
JOO1-8 穿刺排膿後薬液注入 ×××
JO18 喀痰吸引 ×※3 ××× ××
J018-3 干渉低周波去痰器による喀痰排出 ×※3 ××× ××
JO24 酸素吸入 ×※3 ××
JO24-2 突発性難聴に対する酸素療法 ×※3 ××
J025 酸素テント ×※3 ××
JO26 間歇的陽圧吸入法 ×※3 ××
JO26-2 鼻マスク式補助換気法 ×※3 ××
JO26-3 体外式陰圧人工呼吸器治療 ×※3 ××
JO38 人工腎臓 ※1※2
JO42「1」連続携行式腹膜灌流 ※1
JO43-3 ストーマ処置 ×
JO45 人工呼吸 ×
JO53 皮膚科軟膏処置 ×
J060 膀胱洗浄 × ×
JO60-2 後部尿道洗浄(ウルツマン) × ×
JO63 留置力テーテル設置 × ×
JO64 導尿(尿道拡張を要するもの) × ×
J118 介達牽引 ×
J118-2 矯正固定 ×
J118-3 変形機械矯正術 ×
J119 消炎鎮痛等処置 ×
J119-2 腰部又は胸部固定帯固定 ×
J119-3 低出力レーザー照射 ×
J119-4 肛門処置 ×
J120 鼻腔栄養 ×× ×
  • :その処置に伴い使用する薬剤、特定保険医療材料も含め算定できない。ただし、在宅療養指導管理に用いる⑭在宅欄で請求する薬剤、特定保険医療材料については算定できる。
  • ※1:週1回に限り、JO38人工腎臓又はJO42腹膜灌流「1」連続携行式腹膜灌流のいずれか一方と併算定可。その場合、C102在宅自己腹膜灌流指導管理料の「注1」に規定する2回目以降の費用は算定不可となる。
  • ※2:週1回に限り、JO38人工腎臓と併算定可。その場合、C102-2在宅血液透析指導管理料の「注1」に規定する2回目以降の費用は算定不可となる。
  • ※3:在宅酸素療法指導管理料に含まれる処置に係る酸素代(酸素加算)も算定できない。
  • ※4:在宅気管切開患者指導管理料に含まれる創傷処置には気管内ディスポーザブルカテーテル交換も含まれ、別に算定できない。
  • ◎(出典:医学通信社「レセプト総点検マニュアル2022年版」)
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