アドバンス・ケア・プランニング(ACP)―人生会議―

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは、将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、患者さんを主体に、そのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思決定を支援するプロセスのことです。患者さんの人生観や価値観、希望に沿った、将来の医療及びケアを具体化することを目標にしています。

このページでは、本会と東京都が共同で制作した「住み慣れた街でいつまでも-最期まで自分らしく暮らせるまち東京-」からACPについて分かりやすく説明しています。(承認番号:5保医医政第289号)

皆さん、ご自分の将来でいよいよとなったら、どのような最期を迎えたいか、お考えになったことがありますか。

私は痛いのは嫌だな。寝たきりで意識もない状態になったら人工呼吸器はつけてほしくない。いや、私はできるだけ延命治療もして努力してほしい。いろいろなお考えがあることと思いますが、そのようなお心づもりをどなたかとお話し合いになったことがありますか。

ご家族やお友達、かかりつけ医やヘルパーさんたちと話し合う場合に、縁起でもない、と避けるのではなく、向き合うようにしましょう。いざとなった場合にご自分の意思を表すことができないこともあるのです。お心づもりは将来変わることもあるので、繰り返し確認されるとよいでしょう。医療・介護・福祉の専門職チームが皆さんのお心づもりをお支えします。

 

<目次>

 


あなたはご自身の老後の生活について、どのような計画をしていますか

年をとると病気がちになり、治療を受けながら生活をしていくことになります。それは、ご家族や周囲の人の生活にも関わってきます。どのような場所で、どのような医療や介護を受けるのかを考えておくことが大事です。

将来体の具合が悪くなったときに、受けたい、または受けたくない医療行為の希望を表明しておくことを事前指示といい、その内容を文書にしたものが事前指示書と呼ばれています。

「人生の最終段階における医療について家族等や医療介護関係者との話し合いについて」(一般国民n=973)

「事前指示書を作成しておくことについて」(一般国民n=973)

資料:「人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書」(平成30年3月)


人生の最終段階の医療

日本人の平均寿命は世界でもトップクラスですが、「いかに健康で生活できる期間を延ばすか」が大事なことです。年齢を重ねて徐々に体が弱ってきていると自覚する時期に、地域社会とつながりを持ち、適切な栄養をとり、体を動かすという自分自身のための努力をすることが勧められます。これをフレイル対策といいます。

しかし重い病気となり回復が期待できない場合に、命を長らえる処置が行われることがあります。食事ができなくなった場合に人工的な栄養補給として胃に管を通して栄養を入れる胃ろう、点滴で栄養を入れる静脈栄養法、また呼吸ができなくなった場合に人工呼吸器をつけるか、などいわゆる延命の処置があります。

自分がこれらの処置を希望するかどうかは、あらかじめご家族やかかりつけ医などと話し合っておくことが将来を見据えたご自身の生き方にも関わってきます。

 

あらかじめ延命治療を望まないと表明されている場合は、本人の意に反した結果にならないためにも、そのときになってあわてて救急要請してしまわないよう、かかりつけ医と対応について十分に相談しておくことが重要です。


人生会議 ACP

将来の人生をどのように生活をして、どのような医療や介護を受けて最期を迎えるかを計画して、ご自身の考えを心づもりとしてご家族や近しい人、医療やケアの担当者とあらかじめ表しておく取り組みをアドバンス・ケア・プランニング(ACP)といいます。愛称として「人生会議」と呼びます。環境や体調の変化により、繰り返して話し合いを行うプロセスでもあります。

先にあげた事前指示書と異なる点は、事前指示書は自分の思いをあらかじめ提示しておくことが主なポイントですが、人生会議 ACPはご家族や医療やケアの担当者と話し合って確認するという行為が大事な点です。今後の人生をどのように過ごして、どのような医療やケアを受けたいかをご家族や専門職との話し合いの中で決めて記録に残すとよいでしょう。

練習として、ご自身の「今の心づもり」を記載してみてはいかがでしょうか。

 


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