全世代の都民を医療で支える新たな東京都医師会を目指す

公益社団法人 東京都医師会
会長 尾﨑 治夫

はじめに

 東京都医師会はこれまで疾病予防としてのタバコ対策、介護予防としてのフレイル対策を掲げ、真の健康寿命延伸を目指してきました。
 医療界の念願であった成育基本法が成立した現在、子どもを安心して産み育てられる東京、学校教育の中でしっかりとしたヘルスリテラシーを身につけた都民で溢れる東京を目指すなど、従来の医療政策と合わせ、全世代にわたって都民を医療面から支えることができる、新たな東京都医師会を目指します。

東京オリンピック・パラリンピックに向けて

 いよいよ東京オリンピック・パラリンピック開催が翌年に迫ってきました。2018年6月には念願であった東京都での受動喫煙防止条例が制定され、オリンピック・パラリンピック開催年の4月には、飲食店の84%を含む屋内空間での全面禁煙が実施されることになります。これにより心臓病、脳卒中、呼吸器疾患の入院患者の減少が期待されます。
 また、熱中症対策についてもマラソンや競歩をはじめ多くの競技の開始時間の見直しが行われようとしています。いずれも東京都医師会が日本医師会をはじめとする他団体の協力を得て、その実現に深く関与してきました。
 本年度も引き続き、オリンピック・パラリンピックに向けたラストマイルの熱中症対策、感染症対策、外国人医療、災害、テロ等のさまざまな対策を東京都、組織委員会、関係する団体とともに築いていきます。
 さらにオリンピック・パラリンピックのレガシーとして、子ども、障害者、高齢者を含むすべての都民がスポーツに親しみ、スポーツを通じて運動不足を解消できるようスポーツ庁をはじめとする関係団体とともにその実現を目指して、2025年に向けたフレイル予防に繋げていきます。

子どもの健康と教育への対応

 冒頭にも述べたように、少子化対策にも力を入れていきます。結愛ちゃん事件に代表されるような痛ましい虐待事例はもう起こしてはなりません。望まない妊娠も防げるはずです。産婦人科医会、小児科医会の協力のもと、細やかな健診体制を築き、虐待事例を見逃さず、未然に防げるよう尽力していきます。
 また、スムーズな供給体制がとれるようなワクチン対策を日本医師会との協力のもと実現します。加えて、がん教育・性教育をはじめとする健康教育にも力を入れ、外部講師としての学校医の役割を確立させ、ヘルスリテラシーを備えた都民に成長できるようにつとめます。

次世代医師の育成や産業保健への取り組み

 これまで多くの大学医学部での出張講義を通じて、医学生に医師会活動や地域医療の重要性を理解してもらう努力をしてきましたが、新たに新研修医のオリエンテーション等を開催し、引き続き次世代医師育成に協力するなど、若手医師と医師会の関係がより密になるようにします。
 産業保健の中では、禁煙推進企業と協力して、受動喫煙防止条例制定後、増加すると考えられる禁煙希望者に対して、禁煙外来を通じて確実に禁煙してもらえる仕組みを作るとともに、企業内で増え続けるがん患者の両立支援にも力を入れていきます。

病院救急車の活用と都内を結ぶICTネットワークの構築

 増え続ける高齢者救急の中で、病院救急車を利用した救急搬送、転送システムは、消防庁の救急システムを守っていくためにも、これからの東京都になくてはならないシステムと考えています。すでに5区市で活動していますが、いよいよ消防庁救急車の病院救急車への譲渡がはじまり、さらにシステムの拡大が期待されます。
 交通網の発達した東京では、医療圏にかかわらず患者さんの移動がみられます。このため病院間、そして地域の多職種の間のネットワーク作りはもちろんのこと、これら東京都全体を結ぶポータルサイトも必要です。2025年に向けた地域医療提供体制と地域包括ケアシステムが有効に機能するためには、このICTネットワークが不可欠ですので、確実な構築に取り組んでいきます。

 

 2019年度も、都民の安全安心を守り、東京都の医療をより良くするため、しっかりとした事業計画を立てて臨んでいきます。皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

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