予防接種とは?

1. 予防接種(ワクチン)とは?

毒性を弱めた病原体(ウイルスや細菌)や毒素を、前もって投与しておくことにより、その病気に罹りにくくすることを予防接種といい、投与するものをワクチンあるいはトキソイド(以下、ワクチン)といいます。

2. ワクチンの種類

ワクチンには作り方によって次の3種類があります(トキソイドを不活化ワクチンに含めることもあります)。

(1) 生ワクチン

生きた細菌やウイルスを繰り返し培養するなど、病原性が弱くなったものを選別して作ったもの

(2) 不活化ワクチン

細菌やウイルスを、ホルマリン処理などによって毒性をなくしたもの

(3) トキソイド

細菌が作る毒素を、ホルマリン処理などによって毒性をなくしたもの

生ワクチン 不活化ワクチン トキソイド
  • 麻しん
  • 風しん
  • 麻しん風しん混合
  • 水痘
  • おたふくかぜ
  • 黄熱
  • BCG
  • ロタウイルス
  • 百日咳(DPT-IPV:四種混合、DPT:三種混合)
  • 日本脳炎
  • インフルエンザ
  • A型肝炎
  • B型肝炎
  • インフルエンザ菌b型(ヒブ)
  • 13価結合型肺炎球菌
  • 23価莢膜ポリサッカライド肺炎球菌
  • ヒトパピローマウイルス
  • 狂犬病
  • 不活化ポリオ
  • 髄膜炎菌
  • 帯状疱疹ワクチン
  • ジフテリア・破傷風混合
    (DTトキソイド:二種混合として)
  • DPT-IPV:四種混合として
  • 成人用ジフテリア
  • 破傷風

生ワクチンは1回接種で有効といわれてきましたが、最近では麻しん風しん混合ワクチンや水痘ワクチンのようにある程度の間隔をあけて2回の接種が勧められるようになりました。

不活化ワクチンやトキソイドは2~4回の接種に加えて、定期的な追加接種が必要です。

3. 混合ワクチン

あらかじめ2種類以上のワクチンを混合したワクチンがあります。

(1) DTトキソイド=ジフテリア+破傷風
(2) MRワクチン=麻しん+風しん
(3) DPT+IPVワクチン=百日咳+ジフテリア+破傷風+不活化ポリオ

4. ワクチンの投与方法

わが国のワクチンの大部分が皮下注射で投与する皮下接種ですが、口から飲む経口接種(ロタウイルスワクチン)や皮膚にスタンプのように接種する経皮接種(BCGワクチン)があります。

また筋肉内の深い部位に注射する筋肉内注射で投与する場合もあります(ヒトパピローマウイルスワクチンなど)。

5. 定期接種と任意接種

予防接種法という法律で接種することが勧められているワクチンが定期接種で、A類疾病とB類疾病に分けられます。A類疾病は結核、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)感染症、小児の肺炎球菌感染症、水痘、ヒトパピローマウイルス感染症、B型肝炎で、B類疾病は季節性インフルエンザと高齢者の肺炎球菌感染症があります。

A類疾病は主に集団予防、重篤な疾患の予防に重点を置き、国の積極的な勧奨があり、本人(保護者)に努力義務があります。B類疾病は主に個人予防に重点を置き、本人(保護者)に努力義務はありません。国の積極的な勧奨もありません。

 

(1) 法定接種

定期接種のワクチンは、次の場合に無料(B類疾病のワクチンは一部自己負担あり)で受けられるところが多いです(法定接種といいます)。
① 決まった回数を、決まった間隔で。
② 決まった年齢内に。
③ 高齢者インフルエンザワクチンは、決まった時期に。
④ 決まった場所で。

23区内では23区内どこでも、市町村では原則その市町村内で。
ただし、相互乗り入れといって周辺の自治体での接種も特別な手続きなしで受けられる場合があります。

里帰り分娩などで住民票のある自治体以外(23区外あるいは東京都以外など)で定期接種を希望する場合は、あらかじめ住民票のある自治体が発行する「予防接種依頼書」により他の自治体でも定期予防接種を受けることが可能です。
BCG等は集団接種で行なっている自治体もあります。

病気などの医学的理由で、定期接種の対象年齢内に受けられなかった場合、高齢者の肺炎球菌感染症は治ってから1年間、その他のワクチンは治ってから2年間定期接種として受けることが可能です。

 

(2) 法定外接種または公費補助の任意接種

国が定めた基準(法定接種)からは外れますが、各自治体の定めた要件を満たす場合に無料または安い自己負担額で接種が受けられる場合があり、法定外接種または公費補助の任意接種といいます。

① 定期接種のワクチンではあるが推奨年齢をはずれた場合
 2歳以降小学校入学1年前まで、および小学校入学後から7歳6か月未満までの麻しん風しんワクチンなど。
② 各自治体独自の事業によるもの
 通常は任意接種として全額自己負担になるものが、各区市町村で一部の補助が受けられるものがあります。
 おたふくかぜワクチン、小児のインフルエンザワクチンなどがあります。

 

(3) 任意接種

上記以外の場合は任意接種となり、接種費用は医療機関によって異なりますが、接種できる年齢や接種回数、接種量はワクチンによって決まっています。

任意接種概念図

万一、予防接種で重い副反応が発生した場合、法定接種では『予防接種法』に基づいて国の『予防接種健康被害救済制度』により救済されます。任意接種では、一般の医薬品の副作用の場合と同じく、『独立行政法人医薬品医療機器総合機構法』により補償されます。

法定外接種による場合には、各自治体が独自に加入している保険と『独立行政法人医薬品医療機器総合機構法』の『医薬品副作用被害救済制度』によるものとの両方で補償が受けられます。

法定接種 予防接種健康被害救済制度
法定外接種 各自治体独自に加入している保険および医薬品副作用被害救済制度
任意接種 医薬品副作用被害救済制度

6. ワクチンの副反応

ワクチンの副反応には、生ワクチンの副反応である『感染型』といって、その病原体が感染した時と同様の潜伏期間で症状が出現する場合と、すべてのワクチンで出現する可能性がある『免疫アレルギー型』があります。

その他の主な副反応としては、以下のようなものがあります。

(1) BCG:腋下リンパ節腫脹
(2) ロタウイルスワクチン:腸重積症
(3) 風しんワクチン:血小板減少性紫斑病
(4) おたふくかぜワクチン:ウイルス性髄膜炎 など

これらは、その病気にかかった時にも起こることがあり、ワクチンの副反応で発生する頻度の方が少ないです。

7. 異なるワクチンの接種間隔

異なるワクチンの接種間隔は、注射生ワクチンから他の注射生ワクチンを接種するときのみ27日以上あけることとされています。
これは、発熱などの副反応のでる期間を避けることと、抗体産生の低下を防止する(干渉作用がある時期を避けて、抵抗力を十分に高める)ためです。

8. 接種スケジュールと同時接種について

前もって混合されていない2種類以上のワクチンを、1回の受診で同一の接種対象者に接種することを同時接種といいます。
従来は、海外転居などのために接種間隔をあける時間がない場合など『医師が特に必要と認めた場合に行なうことができる』とされていました。

しかし、乳児期前半に接種するべきワクチンの数が増えてから、同時接種を行うケースが増えてきました。わが国では平成23年春に同時接種後の死亡例の報告がありましたが因果関係は否定されており、また海外では同時接種は一般的に行なわれています。日本小児科学会でも同時接種は一般的に行われる医療行為であるとの見解が出されました。

 

保護者の方が同時接種を希望するか希望しないかによっても接種スケジュールが変わってきます。かかりつけの医師に御相談下さい。
また、国立感染症研究所感染症疫学センターのホームページも参考にして下さい。

9. 母子健康手帳について

必ず母子健康手帳を持参して予防接種記録のページに記載してもらいましょう。母子健康手帳がなくても予防接種は受けられますが、いつも同じ医療機関で予防接種を受けるとは限りません。

ワクチンの接種回数や間隔の確認、または将来の予防接種証明書の発行の際に必要になることがあります。海外で出生した場合や紛失した場合などは、お住まいの自治体で新しい母子健康手帳を再発行してもらえます。

10. それぞれのワクチンについて

(1) BCGワクチン

BCGは結核菌に対するワクチンです。以前はツベルクリン検査を行って反応が陰性の赤ちゃんにBCG接種を行なっていましたが、平成17年4月からはツベルクリン検査を行わずに接種するようになりました。

出生直後からの接種が可能ですが、細胞性免疫不全症というまれな病気の赤ちゃんが知らずにBCGを受けると重症になりますので、標準では生後5か月に達した時から生後8か月に達するまでの期間となっています。

自治体によって、集団接種か指定医療機関での個別接種かが決まっています。BCGは粟粒結核や結核性髄膜炎といった重症の結核から乳幼児を守るために行なわれていますので、1歳になるまでに接種を済ませましょう。

病気などの医学的理由で接種が受けられなかったお子さんは病気の種類によっては治ってから2年間は定期接種として受けられますので、前もって各自治体の担当課へ御相談下さい。海外から帰国した方や、医学的理由以外で期間内に無料での接種が受けられなかった場合には任意接種となります。

上述のように、BCGは乳幼児の重症結核の予防のために行なわれるワクチンですので就学以降の接種は通常は不要です。1歳から5、6歳の間に初めてBCG接種を行う場合には、前もってツベルクリン検査を行って陰性であることを確認してからBCG接種を行うという方法もあります。

 

(2) 4種混合ワクチン、ジフテリア破傷風混合(DT)トキソイド

平成24年11月から、従来のジフテリア、破傷風、百日咳のDPTワクチンに、不活化ポリオワクチンが一緒になった4種混合ワクチン(DPT-IPV)が使用できるようになりました。

①1期:4種混合ワクチンを生後3か月から20日以上(標準的には20~56日)の間隔で3回
②1期追加:1期終了後6か月以上(標準的には12か月からか18月)あけて1回(生後90か月に至るまで)
③2期:DTトキソイドを11歳に達した時から13歳に達するまで(標準では11歳に達した時から12歳に達するまで)

 

(3) 麻しんワクチン、風しんワクチン、麻しん風しん混合(MR)ワクチン

法定接種としては次のように行います。
①1期:生後12か月~2歳未満
②2期:小学校入学前の1年間(4月1日から3月31日まで)

自治体によっては法定外接種として上記以外でも接種可能な場合があります。
(例)1期は2歳から小学校入学1年前(2期接種開始)の直前まで
   2期は小学校入学後7歳6か月未満まで

3期、4期の接種は平成25年3月末で終了になりました。1歳前に自費で接種を受けた方は効果が不十分なので、1歳になったら1期の接種から受け直して下さい。妊娠中に風しん抗体価が低いと言われたお母様も、出産後に風しんまたはMRワクチンが任意接種として受けられますが有料となります。

 

(4) 日本脳炎ワクチン

標準的な接種期間は下記の通りです。
①1期初回:3歳になったら6日以上(標準的には6~28日)の間隔で2回
②1期追加:1期初回終了後6か月以上(標準的にはおおむね1年)後に1回(7歳6か月未満までに)
③2期:9歳から13歳未満までの間に1回

ただし、平成7年4月2日から平成19年4月1日までの間に生まれたお子さんは、20歳までは日本脳炎ワクチンが無料で受けられます。
平成19年4月2日から平成21年10月1日までの間に生まれたお子さんは、1期の接種年齢に加えて、2期の接種年齢でも、1期の不足分を定期接種として受けられます。

標準的な接種期間からはずれますが、定期予防接種は生後6か月から可能で、日本小児科学会では日本脳炎流行地域に渡航・滞在する小児、最近日本脳炎患者が発生した地域・ブタの日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6か月からの接種を勧めています。

 

(5) インフルエンザ菌b型(=ヒブ)ワクチン

インフルエンザ菌b型(=ヒブ)は、乳幼児の肺炎や髄膜炎などを起こす菌で、この病気を予防するワクチンがヒブワクチンです。

(i) 生後2か月から生後7か月未満で開始した場合
①初回接種:生後12か月に至るまでの間に、27日(医師が必要と認める時は20日)以上(標準的には27~56日)あけて3回
②追加接種:初回接種終了後7か月以上(標準的には7か月以上13月未満)あけて

(ii) 生後7か月から生後12か月未満で開始した場合
①初回接種:生後12月に至るまでの間に、27日(医師が必要と認める場合は20日)以上(標準的には27~56日)あけて2回
②追加接種:初回接種終了後7か月以上(標準的には7か月以上13か月未満)あけて

(iii) 12か月~60か月で開始した場合
1回接種
開始年齢が遅くなると必要な接種回数が減ります。
しかし、この菌が起こす病気は年齢の小さなお子さんほど重症になりやすいので、できるだけ早くに接種を始めましょう。

 

(6) 小児用肺炎球菌ワクチン(肺炎球菌13価結合型ワクチン)

肺炎球菌は乳幼児の肺炎や髄膜炎、中耳炎を起こしたり、高齢者の肺炎の原因菌となりますが、いくつかの型があります。
小児用肺炎球菌ワクチン(商品名:プレベナー13)は、13の型(=13価)の肺炎球菌に有効で、ワクチンの付きにくい乳幼児にも効果のあるワクチンです。

(i) 生後2か月から生後7か月未満で開始した場合
①初回接種:生後24か月に至るまでの間(標準的には1歳未満)に27日以上あけて3回
②追加接種:初回接種終了後60日以上あけて生後12か月に至った日以降において1回

(ii) 生後7か月から生後12か月未満で開始した場合
①初回接種:生後24か月に至るまでの間(標準的には1歳未満)に27日以上あけて2回
②追加接種:初回接種終了後60日以上あけて生後12か月に至った日以降において1回

(iii) 12か月から24か月で開始した場合
60日以上あけて2回接種

(iv) 24か月から60か月で開始した場合
1回接種

この病気も年齢の小さなお子さんが重症になりやすいので、できるだけ早くに始めましょう。

 

(7) 成人用肺炎球菌ワクチン(肺炎球菌23価莢膜ポリサッカライドワクチン)

23種類の肺炎球菌に効く(=23価)ワクチンが成人用肺炎球菌ワクチン(商品名:ニューモバックスNP)ですが、免疫力の弱い2歳未満の乳幼児には効果がありません。

65歳以上の方、または脾臓摘出後、鎌状赤血球症、慢性心疾患、慢性肺疾患、慢性腎不全などの病気のある2歳以上の方が接種対象で、5年ごとの再接種が可能です。当該年度に、65,70,75,80,85,90,95,100歳になる人は定期接種(B類疾病)として1回接種可能です。

 

(8) ヒトパピローマウイルスワクチン

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスの16型および18型の感染が主な原因であることが知られていますが、この16型と18型のヒトパピローマウイルスは外陰上皮内腫瘍という外陰ガンの先行病変や、膣上皮内腫瘍という膣ガンの先行病変を引き起こすこともあります。また、6型と11型のヒトパピローマウイルスは尖圭コンジローマという外陰部のイボ(良性腫瘍)の原因となります。

子宮頸がん予防ヒトパピローマウイルスワクチンには、16型と18型に効くサーバリックス(商品名)、16、18、6、11の4つの型に効くガーダシル(商品名)16、18、31、33、45、52、58の9つの型に効くシルガード9(商品名)の3種類があります。

 

(9) 水痘(=みずぼうそう)ワクチン

平成26年10月から定期接種となり、生後12か月以上36か月未満(標準では生後12か月から15か月)で3か月以上(標準では6か月から12か月)あけて2回接種します。

 

(10) ロタウイルスワクチン

ロタウイルスはノロウイルスと同じ様に胃腸炎の原因となり、下痢、嘔吐、腹痛、白色便(白色でないこともある)といった症状がみられます。また、まれに脳症をおこすことがあります。

ロタウイルスは、外殻蛋白VP7の抗原の違いからG1~G14の14種類に分けられ、また、同じく外殻蛋白のVP4の抗原の違いから20種以上のP型があります。世界で流行するのはG1P(8)型が65%と最多で、G2P(4)、G3P(8)、G4P(8)、G9P(8)を含めた5つの型で90%以上を占めます。

令和2年10月から定期接種となりました。ロタウイルスワクチンには1価のロタリックス(商品名)と5価のロタテック(商品名)の2種類があります。両方とも生ワクチンで4週間の間隔で内服します(経口接種)。一方のワクチンだけを内服し、両者の混合、または交互に内服することは行ないません。

初回接種は腸重積症の好発月齢を避けて、生後14週6日までに接種することが推奨されています。

ロタウイルスワクチンの内服後(特に初回接種の1週間以内)に、腸重積症の発現率が高いと言われており、頻回の嘔吐やイチゴジャム様の血便があれば、直ちに医療機関を受診しましょう。また、腸重積症の症状としては、啼泣と不機嫌を繰り返す、腹部膨満、ぐったりする、顔色不良、嘔吐を繰り返すといった症状もあるので、このような症状が見られた場合は速やかに医療機関を受診しましょう。

  ロタリックス(1価ワクチン) ロタテック(5価ワクチン)
  G1P(8) G1P(8),G2P(4),G3P(8),
G4P(8),G9P(8)
投与回数 2回 3回
開始時期 生後6週から 生後6週から
終了時期 生後24週まで 生後32週まで
1回量 1.5ml 2.0ml

腸重積症の発症を高める可能性のある未治療の先天性消化管疾患(メッケル憩室など)を有する場合、腸重積症の既往がある場合、重症複合型免疫不全(SCID)の患者さんは接種を受けることができません(接種禁忌)。

 

(11) ムンプス(=おたふくかぜ)ワクチン

これも1歳になったら受けられます。おたふくかぜにかかると髄膜炎や難聴を合併したり、思春期以降では不妊の原因になることがあります。
最近では2回の接種が勧められており、日本小児科学会では、1回目を生後12か月から15か月、2回目を5歳以上7歳未満で接種することを推奨しています。

 

(12) インフルエンザワクチン

インフルエンザウイルスにはA型とB型があり、A型にはH1N1(2009年のパンデミックの時に流行した亜型)、H3N2(香港型)などの亜型があります。2009年に流行した新型インフルエンザは現在では季節型インフルエンザA型の1つとみなされています。

A型のH1N1、H3N2などの亜型やB型の中でも、毎年流行するウイルス(=株)が少しずつ変わっています。インフルエンザワクチンは、A型H1N1,A型H3N2、B型2種類(山形系統、ビクトリア系統)の計4種類からそのシーズンに流行しそうな株をそれぞれ1つずつ選んで4つの種類を含んだワクチンが作られています。

ワクチンを接種しても感染してしまうこともあり、感染予防のワクチンではありません。効果は概ね接種後5か月程度持続すると言われています。それでも重症なインフルエンザや脳症、心筋炎などの重い合併症を起こさないためにも、インフルエンザワクチンは毎年受けることをお勧めします。

2011-12年シーズンから小児のインフルエンザワクチンの接種量が増えました。インフルエンザワクチンは生後6か月から接種できますが、6か月以上3歳未満が1回0.25mL、3歳以上が成人と同じく1回0.5mLとなっています。これにより、特に乳児ではワクチンの効果が以前よりは期待できます。13歳未満は1回の接種だけではワクチンの効果が弱いため、従来通り2~4週間(4週間が最適)の間隔で2回接種することが勧められています。

通常のインフルエンザワクチンは任意接種で、通常は全額自己負担となりますが、65歳以上の高齢者と60歳以上で心臓、腎臓、呼吸器の病気やヒト免疫不全ウイルスによる免疫不全のある方は定期接種(B類疾病)として一部の自己負担で接種が受けられます。この高齢者インフルエンザワクチンの接種は10月から1月までの期間に行われます。

 

(13) A型肝炎

A型肝炎ウイルスに対するワクチンです。添付文書上対象年齢の制限はありませんが、WHOは1歳以上の接種を推奨しています。
初回接種は0.5mLを2~4週間隔で2回、初回接種後24週を経過した後に0.5mLを追加接種します。

 

(14) B型肝炎

B型肝炎ウイルスに対するワクチンです。母親がB型肝炎ウイルスに感染している場合には出生した赤ちゃんへの感染予防のために生後12時間以内、1か月時、6か月時の3回投与が保険診療で行なわれます。

それ以外の場合は平成28年10月より、平成28年4月1日以降に出生したお子さんが生後1歳に至るまでの間(標準では生後2か月に至った時から生後9か月に至るまでの期間)に3回の接種が定期接種となりました。1回目と2回目の間は27日以上、3回目は1回目から139日以上あけます。

12. 海外渡航をご予定の方へ

(1) 海外渡航時に必要なワクチン

海外へ出かける場合には、日本とは違う予防接種が必要になります。海外渡航時の予防接種は、黄熱病のように入国時に予防接種証明書が要求されるものと、日本では既にコントロールされているが海外では流行があるため本人又は家族の健康を守るため推奨されているものがあります。

(2) 海外渡航時の予防接種の主なもの

●検疫で要求されるもの
 黄熱

●渡航者本人または家族に必要なもの
 破傷風、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、日本脳炎、ポリオ、BCG、ジフテリア、麻しん、風しん、髄膜炎菌性髄膜炎、腸チフス*、コレラ*など(*は国内で承認されていません。)

(3) 海外渡航時の予防接種の原則

① 時間的余裕を持って接種の計画を立てましょう。
②WHOのEPIワクチン(麻しん・ポリオ・DPT・BCG)を最優先とします。アジア方面では日本脳炎も優先的に行いましょう。
③ 現地で必要とされるワクチンは必要です。
④長期滞在であれば、渡航先では現地の接種スタイルに合わせましょう。
⑤ 渡航寸前にはワクチン接種を行わないようにしましょう。
 【接種終了の目安】生ワクチン:2-3週間以上前/不活化ワクチン:4日以上前
⑥一時帰国の可能性があるならそのときに追加接種を行うことがあります。

(4) ワクチンについて

詳しくは、厚生労働省検疫所のWebサイト「FORTH(フォース)」の海外渡航のためのワクチンをご参照ください。

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