TMA近未来医療会議

東京都医師会は、With / Postコロナ時代における医療提供体制の抜本的な改革と社会保障の理想像について幅広く検討することを目的として、新たに「TMA近未来医療会議」を設置しました。

本会議では多くの学識経験者・有識者を交えて、東京における各医療分野の代表や地域医療を担う医師が社会保障の諸問題を多角的に討議し、そこから導き出された社会保障制度の改革案を国や東京都へ提言することを目指しています。

「TMA近未来医療会議」設置の背景

過去50年以上にわたり我が国の社会保障給付費は急激な伸びを見せており、現在は総額で120兆円を超え、国民一人当たりの給付費も同様に急増してきています。社会保障費は「年金」、「医療費」および「福祉その他」の3要素に大別されますが、国民医療費は2020年に40兆円を超えたものの、給付費総額における割合は32%とほぼ横ばいになっています。
また、高齢化率の上昇を反映して年金も増加傾向を示していますが、マクロ経済スライドの導入で一定の制限がかかっています。一方、介護費を含む「福祉その他」に係る給付は増加の一途を辿っていることが明白です(図1)。

図1 社会保障給付費の年次推移
社会保障給付費は総額及び国民一人当たりの給付費ともに急増してきている。2020年に国民医療費は40兆円を超えたが、給付費総額における割合は32%とほぼ横ばいになっている。年金も増加傾向にはあるもののいわゆるマクロ経済スライドの導入で一定の制限がかかっています。一方、介護費を含む「福祉その他」の給付は増加の一途を辿っている。

 

さらに図2に示すように、国民医療費は医療の高度化と国民の高齢化に伴って後期高齢者医療費を中心に総額では増加しているものの、直近10年間における対GDP比医療費は横ばいとなっています。つまり、総額で見た社会保障費は膨張しているように見えますが、3要素が一律に増加しているわけではなく、その内訳は主に総人口と年齢構成の変化に伴って変容してきています。

図2 国民医療費と後期高齢者医療費の年次推移
国民医療費は高齢化に伴う後期高齢者医療費を中心に総額では増加しているものの、直近10年間における対GDP比で見ると横ばいとなっている。

 

2040年という近未来に向けて今後我が国の高齢者人口はほとんど変化しないと予想されていますが、64歳以下の人口(特に生産年齢人口)の減少が進むため高齢化がさらに顕著となります(図3)。すなわち、「支え手」の減少により社会保障費の財政問題が最も切実になると想定されています。
こうした予測を受けて、厚生労働省をはじめ内閣府・財務省など国の機関を中心に社会保障改革に関する様々な議論が行われています。さらに、足元の深刻なコロナ禍の経験から医療提供体制を再検討・再構築することが喫緊の課題であると広く認識されてきています。
しかしながら、新型コロナウイルスの激しい感染拡大により医療機関の逼迫・疲弊が顕在化した首都東京では、地方とは全く異なる医療環境と生活基盤に依っているため、医療や社会保障の方向性を全国一律に論じることは困難といえます。

図3 日本の人口構成の推移と高齢化率の変化
2020年以降、高齢者人口はほとんど変化しないものの、64歳以下の人口(特に生産年齢人口)の減少が進むため高齢化率がさらに顕著となる。

 

そこで東京都医師会は、With/Postコロナ時代における医療提供体制の抜本的な改革と社会保障の理想像について幅広く検討することを目的として、新たに「TMA近未来医療会議」を設置しました(TMA:Tokyo Medical Association)。
本会議では多くの学識経験者・有識者を交えて、東京における各医療分野の代表や地域医療を担う医師が社会保障の諸問題を多角的に討議し、そこから導き出された社会保障制度改革案を国や東京都へ提言することを目指しています。加えて、討論の成果を公開シンポジウムや刊行物を介して国民・都民に向けて丁寧に情報発信していくことを本会議の基本方針としました。

本会議は「2040年に向けた医療供給体制と診療報酬体系の抜本的改革」を基本テーマに、4つの論点(キーワード)に分けて議論し、取りまとめた結果を順次発表していく予定です。医療関係者のみならず、さまざまな分野で近未来の医療について考えるきっかけになれば幸いです。

2040年に向けた医療供給体制と診療報酬体系の抜本的改革
【第1クール】国家財政と医療経済(超少子高齢社会の医療)
【第2クール】地域医療と医療介護連携(地域医療構想や地域包括ケアの再構築を視野に)
【第3クール】コロナ対策の評価を踏まえた平時と有事の医療供給体制(第8次医療計画に向けて)
【第4クール】国民皆保険制度・医療保険制度の未来像(全世代型社会保障および後期高齢者医療制度の見直しも含む)

 


第1クール
国家財政と医療経済(超少子高齢社会の医療)

第1回公開シンポジウム

2022年4月15日に第1回公開シンポジウムを開催し、第1クールの議論の結果を発表しました。
香取照幸委員長(上智大学総合人間科学部教授)による本会議の仕組みと第1クールから第4クールまでの検討項目についての紹介に続いて、菅原琢磨座長(法政大経済学部教授)が第1クールの論点「国家財政と医療経済(超少子高齢社会の医療)」に関する提言について詳細な説明を行いました。さらに増田幹生委員(北区医師会長)が東京都医師会員を対象に行ったアンケート「社会保障と医療に関わる東京都医師会員の意識調査」の集計結果を報告しました。
当日の動画と資料は以下からご覧ください。

2022年4月15日開催 第1回公開シンポジウム(動画協力IWJ)

 

シンポジウム資料


  • 東京都医師会 定例記者会見
  • 元気がいいね
  • タバコQ&A
PAGE TOP