ヘルスリテラシーって何?
「ヘルスリテラシー」とは、
健康や医療に関する正しい情報を入手し、
理解して活用する能力のこと。
「ヘルスリテラシー」を高めることは、
病気の予防や健康寿命の延伸につながります。
必須科目
ヘルスリテラシーLesson
まずは気になるトピックから!
コロナ禍で、
デジタルリテラシーは向上。
ヘルスリテラシーはどうか?
え?日本人のヘルスリテラシーはかなり低い?
コロナ禍により、私たちのデジタルリテラシーは向上しました。WEB会議、QR決済、ワクチン接種の予約など、生活に必要不可欠なものが一気にデジタルにシフトしたのです。
しかし、ヘルスリテラシーはどうでしょう。複数の国を対象に行われた調査*では、日本のヘルスリテラシーは欧米やアジア諸国と比べても低いという報告があります。
*ヨーロッパヘルスリテラシー質問用紙(European Health Literacy Survey Questionnaire:HLSEU-Q47)

ヘルスリテラシーを向上させるために
ヘルスリテラシーとは「健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力」のことです。自分の身体について考え、沢山の健康情報の中から適切な情報を見極めて使いこなすこと。この力を向上させることが、病気の予防や健康寿命の延伸につながります。
東京都医師会は、日頃の医療活動やこうした啓発により、あらゆる方のヘルスリテラシーを向上させていきます。
がん検診を受けない理由5位。
がんと分かるのが怖いから。
大人の答えではない。
受けてますか?健診と検診
コロナ禍になり、感染症に対する不安から健康診断の受診を控える方が増えています。また、「時間がない」「がんと分かるのが怖い」などの理由で、がん検診を受けない方も多いようです。しかし、がんをはじめ、病気には自覚症状が現れにくく、知らないうちに進行するものが数多く存在します。
定期的に、健康状態を確認し病気を引き起こす原因がないか調べる「健診」、がんなどの特定の病気にかかっていないか診察や検査を行う「検診」、この両方をしっかり受ける。これこそが、健康維持のカギなのです。

※胸や胃のレントゲン検査やマンモグラフィ撮影などによるがん検診を「2年以上前に受診した」、
「今までがん検診を受けたことがない」と答えた者に、複数回答
日本の検診受診率は、欧米の約半分
日本は諸外国に比べ、がん検診の受診率が低いことがわかっています。しかし、がんは早期発見が大切。治療も軽く済むことが多くなります。
がん検診には公的な予防対策として行われる「対策型検診」と、医療機関などで行われる「任意型検診」があります。そのうち「対策型検診」である「胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がん」は、検診費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担のみで受けることができます。
定期的に「健診」と「検診」を受けるよう、心がけましょう。
PDCAはビジネス用語。
では、COPDとは?
甘く見てませんか?喫煙がまねくリスク
「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」とは別名「タバコ病」。気管支が炎症を起こし肺胞が破壊され、咳やたん、息切れなどの症状が現れます。ついには、酸素ボンベ等なしには生きられない状態になることもあります。
他にも喫煙は、多くのがんのリスクを高めたり、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病、歯周病などの原因になると言われています。さらに、認知症のリスクを高める、うつ状態になりやくなる、皮膚の弾力が低下する、女性の場合は月経周期の乱れや早期閉経につながるともいわれています。
また、こうした健康被害は、他人のタバコの煙を吸ってしまう「受動喫煙」でも起こるものです。

「禁煙できない」のは当然。病気なのだから
いろんな理由づけをし、禁煙を回避している方がいます。また禁煙に失敗してしまう方も見受けられますが、それは当然のこと。習慣的な喫煙は「ニコチン依存症」という病気なのです。
タバコを吸うと、血中を通しニコチンが脳に達します。すると脳の中では、快感を生み出すドーパミンが放出されます。吸い終わってしばらくすると、快感を求めて、またタバコを吸いたくなり…ついには、やめられなくなるのです。タバコは違法な薬物とは異なり、精神が崩壊することはありませんが、依存性の強い薬物です。
こうした喫煙のメカニズムを知った上で、禁煙への一歩を踏み出すことも、ヘルスリテラシーの向上へとつながります。禁煙外来があるクリニックもあるので、一度相談してみることをお勧めします。
ネットの医療デマを見破る力、
それもヘルスリテラシー。
インフォデミックにさらされる時代
「がんは〇〇で治る」「△△で免疫力が上がる」など、世間には怪しげな情報があふれています。SNS上では誰もが簡単に情報を発信できるため、パンデミック発生時の世界の情報伝達力は68倍に拡大したというデータ*もあります。
最近では「ワクチン接種で不妊になる」など、新型コロナウイルス感染症にまつわる多くの噂が飛び交い、世界各国で「インフォデミック」という現象が問題になりました。
インフォデミック(infodemic)とは、世界保健機構(WHO)が“information(情報)”と“epidemic(伝染病)”を組み合わせてつくった言葉。デマや噂などの不確かな情報が急速に拡散され、社会の混乱を招くこともあります。
*総務省「令和2年版情報通信白書」より

デジタル社会におけるヘルスリテラシー
こうしたデマや噂は悪意によって広がるだけでなく、重要な情報と思い込んだ人が善意で拡散することも。しかし、多くの人の関心が集まる医療情報においては、誤った情報が人の命を脅かす可能性があります。情報を鵜呑みにせず真偽を見極める力も、これからの時代、必要不可欠なヘルスリテラシーなのです。
赤ちゃんを守るのは、
大きな愛と、
定期ワクチンです。
ちゃんと接種してますか?定期ワクチン
生後2ヶ月で開始される子どものワクチン接種。しかし、コロナ禍では3歳以上の予防接種率が低下しています。例えば、麻しん・風しん(MR)や日本脳炎2期の接種本数は、ここ数年間の同月と比べて明らかに減少しています。
副反応に対する不安や、「自然に病気にかかって免疫をつけさせた方がいい」という考えから、あえて接種させない保護者の方もいるようです。確かに、自然感染でも免疫ができることも多いのですが、合併症が起こるリスクを考慮すると、ワクチンで予防できる病気はワクチンで防ぐことが基本。
予防接種のタイミングは、感染症にかかりやすい年齢などをもとに決められているため、指定された期間内に受けることが非常に大切です。
定期ワクチンが担うもの
予防接種は、子どもが病気にかかることを防ぐと同時に、病気を他の人に感染させてしまい、社会に蔓延させるのを防ぐことも期待されています。
自分の子どものためだけではなく、みんなのためにも。ワクチンの社会的意義も理解したうえ、ぜひ接種をお考えください。
コロナ禍で、
フレイルが増えている。
で、フレイルって何?
シニアの皆さん、フレイルは他人事じゃありません
「ちょっと痩せてきた」「つまずきやすくなった」「物忘れが気になる」。そんな症状、身に覚えはありませんか?それはフレイルの症状かもしれません。
フレイルとは、健康と要介護の間にある虚弱な状態のこと。原因は、身体機能が低下すること、人との交流が少なくなること、気力の低下やうつ状態になることなどが挙げられます。

早期に気づき、予防することが大切
フレイルは、要介護の手前の状態なので、予防・改善することができます。対策の3本柱は「栄養」「運動」「社会参加」。
日々の生活のなかで、食事を楽しみ、定期的に体を動かすこと。そして、人と会って話をすることも大切です。
気になる方は、ぜひかかりつけ医に相談してみてください。規則正しい生活を心がけ、健康寿命を延ばしましょう。