コラム「産業保健のさんぽみち」

2017年6月9日(金曜日)

ストレスチェック実践報告

  • コラム「産業保健のさんぽみち」

 臨床医12年目から企業の産業医へ転進し、15年間の活動の中で労働衛生コンサルタント資格をとり約10年が経過しました。医療の一次予防を目指しており、得策はセルフケアと職場環境とわかっているもののなかなか突破口を見つけられないままでいたところ、平成28年ストレスチェック実施年となり小さな風穴があいた気持ちになれたので早速報告することにした次第です。

 当初、ストレスチェック制度は、ほとんどの産業医が戸惑い会社は困惑していた印象も見られましたが、法治国家日本では11月末までの実施になんとか間に合いそうな勢いを感じます。数社の嘱託産業医や顧問のような労働衛生コンサルタントを兼任していますが、その中での実践事例を紹介します。

 100名以下の大手の子会社で、定期健診や安全衛生委員会の実施など、法令順守の意識は高い一方で魂を入れた施策をしたいと事あるごとに担当者と頭をひねっています。今回も外枠は本社主導で決まり実施、面談者が3名生じました。3名のうち1名は面談の常連といっていいほど毎月来られ身体の不調、人間関係の不調、余暇の楽しみ、会社に対しての思いを語り近い将来の退職を憂いていた方です。他の2名は定期健診結果も良好でこれまで面談をすることのなかった中堅の方々でした。

 その2名の面談の流れは概ね似ており、結果を持参してみせてくれました。聞けば「なぜ、自分が高ストレス者かわからない」とのことです。記載されている文言をなぞり、日常や最近のトピック、プライベートなイベントまで話を深く掘り下げました。そして、本人自身の気づきにつながり、良く見直すと健診結果も正常範囲ながら徐々に悪い方へシフトしていることにご本人は納得がいき大きくうなずきました。産業医はその解説をしながら心の負担が及ぼす身体の負担、そして対応策は問題となっている思考や生活習慣の反対側をすることにある、とアドバイスをしました。高ストレスと総合判断された中のひとつひとつを確認していくことで面談は実のあるものとなりました。

 結果の概要を企業に報告する際、2名については「今回のストレスチェックを受けたことでご自身の抱える心身の負担について気づくことができました。対応については自身で選択してやってみるとのことでした。現在の健康状態は特に勤務軽減措置をせず、職場環境について企業側からの介入は今のところ不要と考えます。」としました。参考になれば幸甚です。

江畑産業医・労働衛生コンサルタント 江畑 智恵  所属医師会:順天堂大学医師会

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