コラム「産業保健のさんぽみち」
目黒区医師会産業医講習会でトラブル発生も無事回避
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◆身近な医師会で必要単位の取得を目指して
目黒区医師会では、毎年、身近な医師会主催の講習会を出席していれば他の講習会に出席しなくても更新単位が取れるように考えて7~8年前より実施しているところです。平成26年度は、平成27年2月28日の土曜日午後、目黒区医師会館にて目黒区医師会産業医講習会を開催しました。
目黒区医師会会館には、130人前後入る講堂と40~50人入る階段講堂と小会議室があります。受講者の特徴として「更新」・「専門」とセットで「実地」を多く取り入れているためか遠方の地域の先生方もよく参加されます。今回は実地3単位が獲得できることもあって遠くは北海道の旭川から3人の先生の参加がありました。なお、今回の講習申込者は139人のうち目黒区医師会会員は40人程度でした。
◆当日に予想外のトラブル発生!
研修会開始直前、1講座目の「産業医の職務と法律責任」をお願いしていた産業医科大学元学長の和田攻先生がいらっしゃいません。受講者は着席し開会を待っています。運よく、2講座目(「産業医が行う過重労働対策」)担当の新宿区医師会の寺田勇人先生が早めにいらしていたので順番を入れ替えることで1講座目は事なきを得ました。その間、和田先生に連絡を試みたところ、所属の大学から2月14日に逝去されていたことが判明、産業医学の分野では重鎮の先生でした。この場を借りて心よりお悔やみ申し上げます。
2講座目の寺田先生が1講座目を務めましたので、2講座目の講師がいないことになります。そこで、3講座目以降の実地をお願いしていた古河電工工業㈱産業医の加部勇先生も早めにいらしていたので急遽ピンチヒッターとして和田先生がご講演される予定であった「産業医の職務と法的責任」についてご講演いただくことができました。
◆ローテーションで実地3単位取得
3~5講座目は実地のため1講座50人以下というルールがあります。そこで、3グループ3会場に別れ、1講座終わるたびに講習者が移動するローテーション方式を取りました。
大きな講堂の「職場における疲労対策」では、スポーツケア鍼灸スポーツマッサージ治療医院の海老沢一哉講師が、①背骨・胸郭を動かす、②肩・腰、でん部周囲筋のストレッチ、③骨盤の正しい姿勢を約1時間実践しました。そのため、先生方は大汗をかいていました。きっと心地よい疲れであったと思います。私自身は後日あっちこっち身体が痛くなったので、日頃の運動不足を実感したところです。
小会議室の「労働衛生保護具」では、十文字学女子大学教授の田中茂先生が呼吸用種々保護具を回しながら講義し、日本はマスク天国、必要に応じ国家検定のマスクの指導を行いました。最後に使い捨て式防じんマスク〔国家検定DS合格品 PM2.5対応〕のひもは耳に掛けるのではないなど使用法、注意点など冗談を交え説明されました。
階段講義室の「職場の感染症対策」では、古河電気産業医の加部勇先生がインフルエンザ、結核、風疹の事例問題が出され、1人ずつ質問を受講者の2/3以上の先生方に浴びせ、最後に最近話題となっているエボラ出血熱についても触れていただき無事終了となりました。講義形式の講演時はうつらうつらしている先生方も実技では、楽しそうに、真剣に学んでいたようでした。
今回は、お願いしていた講師の先生方が早めにいらしていただいていたこと、和田先生のピンチヒッター役を加部先生が務めてくださったことで無事終了となりました。お二人の先生には心よりお礼申し上げたいと思います。加部先生にあっては4講座連続という激務をこなしていただきました。本当にありがとうございました。
東京都医師会産業保健委員会委員 平川 恒久(平川医院) 所属医師会:目黒区医師会