コラム「産業保健のさんぽみち」

2017年6月9日(金曜日)

若葉マーク産業医奮闘記

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◆「製菓」と「精化」の勘違いで始まった産業医デビュー

 東京都医師会の理事の時は、産業保健や医療安全が担当でした。産業医の講習会の司会や講師を務めたことはありましたが、直接事業場の現場に出たことはありませんでした。そんな私がひょんなことから、ある事業場の産業医を委託されたのです。その事業場は、大日精化工業株式会社です。最初、なんとかセイカと言われたので、製菓かなと思いました。製菓なら甘いものも好きですのでいいかなと思っていたのです。ところがなんと一部上場の精密化学工業の会社だったのです。驚きましたね。

◆受け持つことになった企業と産業医デビュー前夜

 大日精化工業株式会社とは中央区日本橋に本社を置く会社です。資本金100億の一部上場の大企業です。事業内容は顔料合成・顔料処理、分散・加工、樹脂合成などを行っています。たとえば、インスタントラーメンの印刷塗料や包装フィルム、ビールのラベル、車の塗料などです。私に務まるか不安でしたが、まあやってみようということでお引き受けしました。足立区に診療所があり、自宅が川口ということの関係から、従業員約500人の東京製造事業所の産業医と従業員約300人の川口製造事業所の産業医と、いっぺんに2か所の産業医になってしまいました。近くに博慈会記念総合病院があります。実は私はそこの副院長を長い間務めていました。博慈会のほうでも全面的にバックアップしてくれるという心強い応援を得ることができました。平成27年3月からの勤務です。初日の前夜は、頭の中で産業医の職務は①総括管理、②作業環境管理、③作業管理、④健康管理、⑤労働衛生教育だったなと思いながら頭の中はいっぱいでしたが、まあなんとか眠れました。

◆職場巡視デビュー

 初日は、川口の工場です。時間通り9時前に工場につきました。案内の方、おそらく総務と思われる方が迎えに出てくれました。お迎えは、最初で最後かもしれません。その方の案内で、作業服、安全帽(ヘルメット)をいただきました。作業服はなんと動きやすい軽快な服ですし、靴は軽く滑らない安全を身に感じる靴です。さすが一流の工場は違うなと感じ入りました。会社のほうは白衣着用と言っていたのですが、私のほうから作業服でお願いしますと希望しており、正解でした。なんとなく作業服に対する興味もありましたのでね。初めての職場巡視です。工場はまあ広いこと、数回に分けての巡視になるでしょう。印刷関係のインクの調合をしていまして、私には若干においが気になり、眼にも少し刺激がある感じでした。職場巡視の後は安全衛生委員会への出席です。会社側と組合側と委員が分かれていました。どうなっているのかなと思いましたが、みなさん熱心に討論していました。防災のほうも管理が行き届いているようで、さすが一部上場の会社だなと感心しました。安全衛生委員会では、職場巡視の件を尋ねられましたので、匂いの件と騒音の件など感じたことを述べて順調に終了しました。お昼をいただいて、次の工場へと向かいました。

◆安全衛生委員会へのデビュー

 足立の工場は川口の工場より規模が大きくより広い施設です。ここでは最初に安全衛生委員会に出席しました。川口と同じ系列ですので内容はそれほど変わりはなく、少し気楽になったものです。足立の工場の安全衛生委員会のメンバーもみな活発に意見交換しておりました、慣れた感じです。私だけでしょう、初心者は・・・。幸い難しい質問などなく、初心者であることを微塵も見せずに何とか委員会が終了です。安全衛生委員会の後に職場巡視です。こちらは川口より広いものですから、全体を把握するにはより多くの時間が必要であると感じました。あせらず、一歩一歩巡視していこうと思いました。どちらの工場でもそうでしたが、衛生管理者、安全管理者、委員の紹介がありましたが、なかなか名前を覚えることができませんでした。初めて会った方ばかりが大勢紹介されたものですから、少しずつ覚えていきたいと思います。ただ、所長さんのお名前だけはさすがに覚えました。

◆決意表明

 産業医としてはよちよち歩きですが、産業医の手引や労働衛生のしおりなど再度開きながら勉強を重ねてゆきたいと思います。また、先達の産業医の先生方や産業保健委員会の委員のお知恵を拝借し、教授いただきこの職を全うしたいと思っています。皆様のご協力ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

東京都医師会産業保健委員会委員 目澤 朗憲(めざわ耳鼻科クリニック) 所属医師会:足立区医師会

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