第2回 定例記者会見(令和元年11月20日開催)


1.東京2020大会の健康面でのレガシー ~オリンピックイヤーを迎えるにあたって~


<尾﨑 治夫 東京都医師会長>

 

2020年7月に東京オリンピック・パラリンピックが開催される。1964年に東京で開催された時は、首都高速、新幹線等が造られたことによりその後の経済成長につながった。
現在、高齢社会が進む中で、国においても健康寿命を延ばすため予防に力を入れ、元気な高齢者で溢れる健康長寿社会を目指している。今回の東京大会では健康面でのレガシーを残したいと考えており、オリンピックを契機としてさまざまな対策を講じることにより、予防医療を推進することが重要である。

① タバコ対策
2020年4月の東京都受動喫煙防止条例全面施行に伴い、 東京都との連携を密にし、しっかりとした対策を進めていく。

② 熱中症対策
数年前から対策に取り組み、特にマラソンのスタートを早朝に変更することを提唱してきた。

③ 外国人医療対策
医療機関への支援として、外国人患者受け入れ体制整備補助、医療機関向け救急通訳サービス、電話医療通訳の利用促進事業、外国語による医療情報サービスの提供等を実施する。

④ 感染症対策
約4000万人の訪日外国人旅行者数が予想され、 麻しん、風しん、侵襲性髄膜炎菌感染症等が発生、拡大した場合、競技が中止となる可能性がある。ワクチンで防ぐことのできる疾患「VPD」は、ワクチンで防ぐのが感染症対策の原則であるため、東京都に要望書を提出した。

 


2.東京2020大会の「運動で健康になる:Exercise is Medicine」というレガシー
  ~東京都医師会とEIM Japanからの提言~


<鳥居  明 東京都医師会理事>

 

現在、予防医療が注目されているが、世界保健機構(WHO)の調査によると死因のリスク要因は1位「高血圧」 、2位「喫煙」 、 3位「高血糖」 、4位「運動不足」であり、多くの疾患には運動不足が関連していると報告されている。日本における運動習慣は50代までが30%未満で、特に問題なのが30~40代の運動習慣が少ない状況である。

厚生労働省では健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)を策定し、国民に働きかけている。本会においても同様に「運動で健康になる」という取り組みについて「だれでも、どこでも、毎日できる運動」として、①ウォーキング、②ラジオ体操、③スクワットなどの運動を積極的に推奨している。

また世界的にも「Exercise is Medicine」(EIM)という組織が各国にあり、 「適度な運動こそは健康寿命を延ばす医療そのものである」ことを啓発する活動をしている。

EIMは、2007年にアメリカスポーツ医学会により設立された。日本では日本臨床運動療法学会の下部組織としてEIM Japanが設立され、日本医師会、厚生労働省、スポーツ庁等と連携し、方策を講じている。また予防医療(運動等)をすることにより、健康寿命が延び、社会保障費の増大を抑止することにもつながる。医師会が中心となり、健康面でのレガシーを構築したい。

 


3.都民公開講座・キッズホスピタルランドについて


<天木  聡 東京都医師会理事>

 

都民公開講座は、「 『フレイル ・ 認知症』を知って、楽しく健康長寿」 をテーマに、笑いと健康について実践的な研究をしている大平哲也福島県立医科大学医学部疫学講座主任教授の講演等を行う。1回目を10月14日(月・祝) 、2回目を12月8日(日)に開催する。キッズホスピタルランドは、お医者さん体験、救急車乗車体験のコーナー等を用意し、楽しんで学べる健康エンターテインメントとして11月24日(日)に開催する。


会見の模様(YouTube)


○定例記者会見に関するお問い合わせ先:広報学術情報課

 「運動で健康になる:Exercise is Medicine」について:疾病対策課
 都民公開講座・キッズホスピタルランドについて:広報学術情報課

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