産業医の手引き<ダイジェスト>
8章:産業保健活動で押さえておきたい重要事項

14 【Topics】第14次労働災害防止計画(全国版・東京版)のポイント

長澤 英次

要旨

Ⅰ.全国版概要:2023(令和5)年度~2027(令和9)年度

 本計画は安衛法第6条の規定に基づき、労働災害防止を目的に、国、事業者、労働者等の関係者が重点的に取り組む事項を定めたものであり、2023(令和5)年度を初年度とする5年間の計画である。また、今回の計画にはアウトプット指標(計画の重点事項における取組の成果として事業者が労働者の協力のもと達成を目指す指標)とアウトカム指標(事業者がアウトプット指標を達成した結果として期待される事項を定めて本計画の効果検証を行うための指標)が設けられている。
目標:死亡災害:5%以上減少、死傷災害:増加傾向に歯止めをかけ2027(令和9)年までに減少させる。
計画の重点事項として下記8項目を定め対策を推進することとしている。

(1)自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発

(2)労働者の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進

(3)高年齢労働者の労働災害防止対策の推進

(4)多様な働き方への対応や外国人労働者等の労働災害防止対策の推進

(5)個人事業者等に対する安全衛生対策の推進

(6)業種別の労働災害防止対策の推進

(7)労働者の健康確保対策の推進

(8)化学物質等による健康障害防止対策の推進

Ⅱ.東京版概要:2023(令和5)年度~2027(令和9)年度

東京労働局では、国が示した計画(全国版)の内容を踏まえ、『トップが発信! みんなで宣言 一人一人が「安全・安心」』をキャッチフレーズとして、すべての関係者が認識を共有し取組みを推進することを目指す。
目標:2027(令和9)年までに死亡災害、死傷災害ともに5%以上減少させる。

(1)次の4つの項目についてアウトカム指標(期待される結果)を定めている。
①労働者の作業行動に起因する労働災害防止対策及び高年齢労働者への労働災害防止対策の推進
②業種別労働災害防止対策の推進
③労働者の健康確保対策の推進
④化学物質等による健康障害防止対策の推進

(2)東京版独自に次の3つの基本的考え方を設定している。
①本社機能が集中する東京発の安全衛生対策の全国への普及拡大
②都市開発プロジェクト関連工事等における安全衛生対策
③「行政が進める安全衛生対策の見える化」の推進

法令・制度等

安衛法令・規則、安衛法第6条、第14次労働災害防止計画

キーワード

労働災害防止計画、労働災害防止対策、アウトプット指標、アウトカム指標、死亡災害、死傷災害

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