3 メンタルヘルス不調とその対応を「見える化」する
要旨
メンタルヘルス不調者への対応の仕方をよくわからないまま進めてしまうと、過度に保護的な対応や、配慮のない厳しすぎる対応になる危険性がある。こうした不適切な対応で労働者や職場が不利益を被らないように、本稿では、理解の補助線としてメンタルヘルス不調とその対応を「見える化」したい。
Ⅰ.精神疾患の整理の仕方
(1)精神疾患の整理:中毒性精神障害、症状性精神障害、器質性精神障害、内因性精神障害、心因性精神障害
Ⅱ.ストレス、成長、そして適応
(1)ストレスは悪者か:「ストレスは人生のスパイスである」。ストレスは成長に不可欠
(2)適応はプロセスである:適応は適応不全からはじまる。自己可塑的と対象可塑的適応
(3)アンバランスな対象可塑的適応社会と自己可塑的適応を促す役割の必要性:快適で便利であることのあたり前さ。労働者もともに頑張ることの必要性
Ⅲ.メンタルヘルス不調とその対応
(1)うつ病:中毒性、症状性、器質性、内因性、心因性のうつ病の存在
回復プロセスについての「骨折したスポーツ選手」というたとえ
(2)職場不適応、適応障害:労働者個人と職場環境との間の不適合
(3)神経発達症群:自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥・多動症(ADHD)
生得的な脳の特性と、社会からの要請との間の不適合
特性は変わりにくいが適応は変化
(4)パーソナリティ障害:パーソナリティを「眼鏡」にたとえる
治療により改善が期待できる。本人自身とその言動とを区別して対応
Ⅳ.働けるかどうかの確認作業
不安によりなおざりにされやすい確認作業
しかし、労働者が再び体調を崩すことなく働き続けるための重要性
Ⅴ.主治医との連携
具体的なやり取りを心がける
法令・制度等
職場における心の健康づくり〜労働者の心の健康の保持増進のための指針〜、2015(平成27年)11月30日改正
改訂心の健康問題により休業した労働者の、職場復帰支援の手引、2020年(令和2年)7月発行
キーワード
精神疾患の整理の仕方、ストレス、成長、適応、適応障害、神経発達症群、パーソナリティ障害