産業医の手引き<ダイジェスト>
5章:企業以外の組織(医療機関、教育機関、公的団体)の労働衛生管理

4 教職員の健康管理

東川 泰之

要旨

2018(平成30)年、働き方改革が推進されることになり、労働時間その他の働き方、待遇、雇用形態などさまざまな領域の改善を進めることになった。文部科学省は学校現場において教職員の抱える複雑かつ困難な環境を理解し、彼らの心身の健康の保持増進のためにさまざまな取り組み行っている。

まず、安衛法に基づいた労働安全衛生管理体制を構築し、学校の規模に応じ、学校産業医(健康管理医)の設置や役割を決めている。都内の公立学校では学校産業医の任用に関するその手続きに一定の決まりがある。

Ⅰ.都立学校の場合

都立学校では1998(平成10)年より学校産業医制度を発足させ、現在ではすべての学校で規模を問わず学校産業医を配置し(他の公立学校において教職員数50人未満では必ずしも充足されていない)、その活動は安衛法の要件を満たしているが、更に学校保健安全法などによって学校現場特有の環境を考慮することが求められている。

健康診断には定期健康診断と臨時健康診断があり、前者において都立あるいは地区教育委員会の判断で追加項目に若干の違いがある。

事後措置において医師の判定、教育委員会の措置と面接指導、ストレス検査に対する方法がそれぞれ定められており、必要に応じ学校産業医と連携を取りつつ受診勧告など速やかな対応が求められている。

Ⅱ.教職員のストレスとメンタルヘルス対策の特徴

教職員の抱える精神衛生上の問題は大きく、本稿では特に強調したところである。すなわち、毎年全教職員の0.5%強がさまざまな原因によって精神疾患として休職に追い込まれており、それは教育現場において本人以外の周囲の同僚への重い負担となっている。

このような事態を回避するためストレスチェック制度を導入し、「早期発見(自覚)」と「早期対処」を目的としたメンタルヘルス対策が立てられている。その対応にあたってはプライバシーに厳に配慮しつつ職場復帰を目指すさまざまな対応法が検討され実施されている。

法令・制度等

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律、学校保健法、労基法、安衛法、学校教育法、地方公務員法、学校保健安全法、同法施行規則、国立大学法人法
〈その他〉
東京都教職員健康管理規則、東京都教育委員会規則、東京都立学校職員健康管理規則、東京都立学校職員健康診断実施要綱、東京都立学校教職員精神保健管理実施要綱、東京都立学校安全衛生組織等設置規定、東京都立学校職員ストレスチェック等実施要綱、教職員学校職員健康管理規程、学校安全衛生委員会設置規程、学校安全衛生管理者等設置規程

キーワード

教職員、労働安全衛生管理体制、東京都立学校、公立学校、学校産業医、健康管理医、健康診断、事後措置、メンタルヘルス、休職状況

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