産業医の手引き<ダイジェスト>
2章:産業医活動に役立つ産業保健機関や専門職との連携

4 産業保健活動総合支援事業・産業保健総合支援センター・地域産業保健センター

小林 要介

要旨

2014(平成26)年度より、産業保健を支援する3つの事業(産業保健推進センター事業、地域産業保健センター事業、メンタルヘルス対策支援事業)が一元化され、「産業保健活動総合支援事業」として、独立行政法人労働者健康安全機構(当時:労働者健康福祉機構)が事業場の産業保健活動を総合的に支援することになった。同時に名称も産業保健推進センターから産業保健総合支援センターに変更となった。東京都内では、東京産業保健総合支援センター1箇所(全国47箇所)と労働者数50人未満の事業場を担当する都内18箇所(全国350箇所)の地域産業保健センター(地域窓口)で事業を行っている。なお、地域産業保健センター事業は、4年間のモデル事業を経て、1993(平成5)年度に事業化され2013(平成25)年度までは医師会が国からの委託を受けて、常時使用する労働者数50人未満の事業場(以下「小規模事業場」)への産業保健サービスを行っていた。一元化後の地域産業保健センターは産業保健総合支援センターの地域窓口として運営することになった。

Ⅰ.産業保健活動総合支援事業の事業(サービス)内容

(1)産業保健総合支援センター
さまざまな事業場への高度専門的な支援活動とともに産業保健専門職や地域産業保健センター(地域窓口)を対象として、①産業保健関係者への専門的研修、②産業保健関係者からの専門的相談対応、③メンタルヘルス対策の普及促進のための個別訪問支援、④治療と仕事の両立支援、⑤ 産業保健に関する情報提供・広報啓発を提供する後方支援機関として機能している。

(2)地域産業保健センター(地域窓口)
小規模事業場の事業者とそこで働く労働者を対象として、安衛法で定められた①労働者の健康管理(メンタルヘルスを含む)にかかわる相談、②健康診断結果について医師からの意見聴取、③長時間勤務労働者(過重労働者)及びストレスチェックの高ストレス者に対する面接指導を提供する産業保健活動総合支援事業の地域拠点である。サービス提供は、地区医師会館で行われている場合が多いが、区役所、登録産業医の医療機関などで実施する方法(サテライト方式)も認められている。なお、統括産業医が配置されているような大規模事業場の支店や営業所は利用対象外となっている。

Ⅱ.地域産業保健センターでの登録医産業の役割について

地域産業保健センターを有効に機能させるためには、地域の産業医の先生方が、本事業への登録産業医として積極的に参画することが大変重要であり、必要不可欠である。

法令・制度等

安衛法令・規則、2018(平成30)年3月29日基安発0329第1号通達

キーワード

産業保健(活動総合)支援事業場、産業保健総合支援センター、地域産業保健センター、メンタルヘルス対策支援事業、地域窓口、サテライト方式、コーディネーター、地域運営主幹、登録産業医、登録保健師、独立行政法人労働者健康安全機構、小規模事業場

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