産業医の手引き<ダイジェスト>
1章:産業医活動の基礎

8 職場アセスメントの基本 §2 現場で使えるツール

山本 健也

要旨

嘱託産業医の多くは実地医家であり、業務時間数には限りがあることから、効率化できる作業はなるべく工夫をして時短に努める必要がある。主に職場巡視にかかる工夫と健康診断結果への対応や従業員との面談における工夫について紹介する。

Ⅰ.職場巡視編

(1)情報管理:事前にレイアウト図や前回の巡視結果の確認などを行い、必要に応じてチェックリストなどを用意する。また、巡視中の記録を適切に実施できるように、使用する筆記用具の点検や画板などの備品の準備を行う。

(2)簡易測定:職場における各種測定要因(温湿度、照度、気流、化学物質の気中濃度、騒音)について、簡易測定器がある場合にはそれらを持参する。また、レーザーポインターや懐中電灯・スマートフォンのライト機能なども有用である。

(3)その他:カメラやビデオカメラによる記録の保存は、どこでどのような課題があるのかを職場関係者と一目瞭然に共有できる点で重宝する。なお、撮影の際は、被写体になる従業員への了解はもちろんのこと、机上の文書・ディスプレイ画面上の機密情報やその他の社外秘である工程などが写らないように配慮するとともに、担当者にその都度確認しながら撮影すること。

保護具が必要な職場では必ず保護具を携行し、実際に自身で使用することも、職場を理解するうえで有用である。

Ⅱ.健康管理編

(1)健康診断結果への対応:健康診断結果個人票への就業区分判定の記載をする場合は、就業区分や自身の名前の入ったゴム印などを用意するとよい。健康診断結果を電子データとして供与してもらうことも検討する。また、衛生委員会などで健康診断結果を報告するために、集計表をつくるためのシートなどをあらかじめ用意しておくとよい。

(2)健康相談・面接指導への対応:健康診断の実施記録用紙の他、紹介状作成にかかる書類一式(産業医→主治医宛情報提供用の様式、主治医→産業医宛返信用の様式、封筒など)、母性健康管理指導事項連絡カードなどを用意しておくとよい。

法令・制度等

心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き
治療の状況や就業継続の可否等について主治医の意見を求める際の様式例

キーワード

職場巡視、健康診断結果、簡易測定、レーザーポインター、懐中電灯、スマートフォン、ライト機能、カメラ、ビデオカメラ、母性健康管理指導事項連絡カード、業務の効率化

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