産業医の手引き<ダイジェスト>
10章:労災補償

2 労働災害防止の基本

後藤 博俊

要旨

Ⅰ.労働災害の定義

 労働災害は、一般的に「物」と「人」とが接触したとき、人が有害な環境に晒された際に生じる現象であると説明されている。「物」と「人」とが接触するとは、事業場における「安全衛生管理上の欠陥(管理が不十分)」により、物の「不安全な状態」が生じ、人が「不安全な行動」を行って、それらが重なることをいう。その「物」と「人」とが接触する結果として災害が発生するとされている。

Ⅱ.労働災害防止対策

 労働災害防止の基本は、その物の「不安全な状態」を生じさせないことと、人が「不安全な行動」をしないようにすることといえる。そのためには、安全衛生管理体制の確立、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の構築と適正な運用、リスクアセスメントの実施、日常的な安全衛生活動、適正な作業方法の確立、安全衛生教育の実施などが重要である。

Ⅲ.増加する高年齢労働者対策

 少子高齢化の進展にともない、今後、ますます増加する高年齢労働者が安全で健康に働くことができる職場環境の形成が重要となってきた。2020(令和2)年3月に厚生労働省から公表された通称「エイジフレンドリー・ガイドライン」を参考に高年齢労働者の特性に配慮した職場環境の整備が望まれる。

法令・制度等

安衛法令・則、労災保険法
労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針
危険性又は有害性等の調査等に関する指針(リスクアセスメント指針)
化学物質による危険性又は有害性等の調査等に関する指針(化学物質リスクアセスメント指針)
高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリー・ガイドライン)

キーワード

労働災害、安全衛生管理、OSHMS、リスクアセスメント、安全衛生教育、エイジフレンドリー、THP

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