2018年1月1日(月曜日)

年頭所感 東京都医師会長 尾﨑治夫

  • 都民のみなさまへ
  • 医師のみなさまへ
  • 新着情報

東京都医師会長 尾﨑治夫

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
年頭にあたり思うところの一端を述べさせていただき、新年のご挨拶とします。

相変わらずのカオスの中で…

 昨年からの北朝鮮問題、日本を含めた各国の対応、トランプ大統領のアメリカの行方、イギリスのEU離脱問題、スペイン・バルセロナでのテロ、そしてカタルーニャ州のスペインからの独立騒動、ドイツのメルケル政権の不安定化など、世界を取り巻く環境はより不安定さを増してきたような気がします。
 特にバルセロナでのテロにおいては、テロの一週間前に現地を訪れていただけに、ひとごとではない事件として、この不安定な時代に生きていることを実感しました。翻って、日本国内はどうでしょう。都議会選挙と突然の解散による総選挙が行われ、国政は自民党・安倍首相一強の状態が継続し、一時のパワーは衰えたものの都政は小池知事・都民ファーストがリードしていくという、皆様ご存じの結果となりました。
 東京都医師会としては、より安心・より安全な医療を都民に提供するべく、国政のみならず都政にも柔軟な対応をしながら、私どもの医療政策実現に向けて役員一同結束して活動を続けています。

平成30年を迎えるにあたって

 さて本年は、診療報酬・介護報酬の同時改定が行われます。内容の詳細はこれからですが、改定率は診療報酬本体が0.55%、介護報酬が0.54%のプラス改定となりました。2025年に向けた体制作りを考えますと、会員の皆様には必ずしも満足できる数値ではないかもしれませんが、東京都医師会としては置かれた状況下で、できる限りの努力を続けていく覚悟です。
 平成30年度東京都保健医療計画の改定にあたっては、医療計画の中の事業展開において、従来の二次保健医療圏に拘ることなく東京都の地域特性を生かした事業展開を柔軟に行っていくとして、我々が強く主張していた「事業推進区域」という概念を正式に書き込むことができました。東京都医師会が求めていた受動喫煙防止対策の強化、タバコ病ともいわれるCOPD対策、介護予防の要であるフレイル対策、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け飛躍的に増えるとされる訪日外国人医療についても計画の中に入ることになりました。これらを踏まえ、役員一同で知恵を絞って平成30年度の事業計画を作成していこうと思っているところです。

地域医療構想の進捗について

 各区域での調整会議はすでに複数回開催され、地域包括ケアワーキング部会もスタートしています。今後はメリハリをつけた公的病院と民間病院の役割分担が1つのキーポイントになると思っています。
 地域包括ケアの中では、2025年に5万人分の訪問診療が不足するといわれる中、在宅医療をしていないかかりつけ医の先生方を対象に、外来診療から在宅に移行せざるを得なくなった患者さんに引き続き医療を提供してもらえるよう、昨年9月より「東京在宅医療塾」を始めました。私どもから資料を提供させていただきますので、今後は各地区医師会でも同様の塾を開催し、2025年に向けて一人でも多くのかかりつけ医の先生が、在宅医療に取り組んでくださるようにしていただきたいと思っています。
 一方、「ほぼ在宅、時々入院」という包括ケアの根幹を実現していくためには、逼迫する東京都の救急医療体制の中で、安定した高齢者搬送システムの構築が必須と考え、東京都医師会では病院救急車による搬送システムを提案、東京都の協力も得て葛飾区、八王子市、町田市でモデル事業を展開してきましたが、今回、江戸川区、北区も新たにこの事業に加わることになります。さらに、東京消防庁が一定期間使用した救急車を二次救急病院に譲渡することが、小池知事のご理解のもと実現の方向に動いていますので、病院救急車による高齢者搬送の全都的展開が実現する可能性が一歩ずつ近づいてきました。

 最後に、東京オリンピック・パラリンピック開催まで1000日を切りましたが、医療界としての準備も徐々に進みつつあります。まず実現すべきは、多くの外国人の方を迎える環境整備として、国際基準に沿った内容の受動喫煙防止対策を整備することです。2月の都議会での条例制定の実現を強く期待しているところです。
 東京都医師会は、今年もしっかりと頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

戻る
PAGE TOP