2020年9月3日(木曜日)

新型コロナ時代における禁煙推進の重要性(東京都医師会×禁煙推進企業コンソーシアム)

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新型コロナ時代における禁煙推進の重要性
~コロナと喫煙の相関性、そして先進企業の取り組み~

2020年8月31日
公益社団法人 東京都医師会
禁煙推進企業コンソーシアム

4月7日に発令された緊急事態宣言から約5か月の月日が経ちました。連日のように感染確認者の報道がなされるなか、東京都医師会では、新型コロナウイルス感染症への対策として下記の依頼を継続的にさせていただいております。
1. 3密状態の回避
2. 3密空間でのマスク着用
3. 手洗い(アルコール消毒含む)/うがいの推奨

そして、さまざまな健康情報がインターネット等で飛び交う中、国民一人ひとりが正しい健康情報を収集し、選択し、活用するスキル、つまりヘルスリテラシーの向上が求められていると言えます。
東京都医師会では、2019年4月に発起人として「禁煙推進企業コンソーシアム」という禁煙を推進する先進企業が集まるコンソーシアムを発足いたしました。定期的に会員企業が集まりノウハウを出し合う情報共有の勉強会を実施している他、先進企業に実際に訪問し禁煙推進や健康経営の現場視察も行っており、会員企業数も現時点で33企業/団体にまで増えております。

このたび、東京都医師会では禁煙推進企業コンソーシアムと共同で、「新型コロナと喫煙の関係性」そして「先進企業のコロナ時代の取り組み」をご案内させていただきます。

 

新型コロナと喫煙の関係性(東京都医師会)

喫煙は新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)にどのように影響するのか。市民の皆さんが最も知りたいことは、新型コロナウイルスにまだ感染していない喫煙者が、重症のCOVID-19に罹患したり、COVID-19で死亡するリスクが高いのかどうかではないでしょうか。

COVID-19と診断された人の喫煙状況(現喫煙者、過去喫煙者、喫煙未経験者に分類することが望ましい)を調査し、その中から重症化(酸素投与、集中治療室入室、あるいは人工呼吸器管理が必要な場合、などと定義される)したケース、あるいは死亡したケースを把握して、喫煙状況の影響を調べた研究の原著論文は既に多数報告されており、そのような原著論文を複数集めて結果を統合したメタ解析論文も10本出版されています。このうち、喫煙者と喫煙未経験者の比較が含まれた研究は9本あり、うち1本は明らかなデータの間違いがあるため除外すると、残る8本は全て現喫煙者の重症化のリスクが高く(1.15倍~2.4倍)、6本は統計学的に有意であったとしています。

さて、前述の疑問に直接かつ正確に答えるための疫学研究とは、多数の市民の喫煙状況を事前に正確に把握(ニコチンやその分解産物の検査などで確認することが望ましい)した上で、その集団(住民コホートと呼ぶ)を追跡し、COVID-19に罹患して重症化あるいは死亡したケースに関する情報を漏らさず正確に把握して解析したものということになりますが、そのような研究の結果は8月12日時点ではまだ報告されていません。
ただしCOVID-19との関連を想定したものではないものの、喫煙状況を正確に把握したコホートを追跡する研究は日本を含めて世界各地で行われているので、いずれはそのような研究の結果が報告されることでしょう。

いずれにせよ、喫煙が呼吸器系や循環器系に及ぼす悪影響は疑問の余地のないところであり、重症のCOVID-19を防ぐため、我々は引き続き禁煙を推進することが必要です。

(東京都医師会タバコ対策委員会 野村英樹)

禁煙推進のススメ(禁煙推進企業コンソーシアム)

禁煙推進企業コンソーシアムは、発足以来30以上の企業/団体の禁煙を先進的に進める企業に会員になっていただいております。禁煙推進に関するノウハウを各社で共有する中で、特に重要視をしているキーワードは『コミュニケーションデザイン』です。

会社全体で禁煙推進の取り組みを浸透させていくため、伝え方に関する設計をしなくてはなりません。禁煙推進企業コンソーシアムの事務局ではその伝え方の設計を『コミュニケーションデザイン』と呼んでおります。「いつ」「誰が」「どのようにして」「何を」伝えていくかを細かく設計していくことを重要視しております。禁煙を進めていくための企業ストーリー作りはもちろんのこと、社長から全社情報発信のタイミングや社内プロモーションのやり方に至るまで細かく設計をしていくことになります。

健康経営に取り組む企業の皆様には、コロナ時代で従業員の方が健康への意識が高まっている今だからこそ、禁煙プロモーションにより一層力を入れていただければと思います。

禁煙推進企業コンソーシアム(会員企業コメント)

企業内の禁煙推進は、制度面・施策面において継続的な取り組みが重要です。今回の新型コロナウイルス感染症に関連し、各企業の社員の働き方が大きな転換期を迎えるとともに、感染予防や禁煙を含む社員の健康増進は今後ますます重要になってくると考えています。

そのような中、各会員企業の経営層の宣言や取り組みを参考にしていただき、1社でも多くの企業が禁煙推進に取り組まれることを切望します。もちろん、本コンソーシアムに新たにご参加いただき、社内禁煙を推進される企業が1社でも増えることを、全会員企業がお待ちしています。

禁煙推進企業コンソーシアムでは、今後も受動喫煙対策を進める地方自治体や企業、各種団体と連動をしながら活動を継続して参ります。

会員企業の働き方/禁煙推進 進捗ニュース

アフラック生命保険株式会社

当社は、日本で初めてがん保険を開発した保険会社として、がんの最大のリスク要因である喫煙と受動喫煙を重大な社会問題と捉え、がん啓発のためのセミナーや展示会等を通じて、特にたばこががんの大きな危険因子であることを生活者の皆様に広くお伝えしてきました。

また社内では、社員が生き生きと活躍できる環境づくりを目指して「アフラック健康経営宣言」を制定、喫煙率の低下を「健康経営」の主な取り組みテーマの一つとして「ビジネス禁煙365」と称した全営業日就業時間内の禁煙徹底や、受動喫煙を防ぐ宴席禁煙、喫煙者への卒煙サポートプログラムの導入など、禁煙推進を含むさまざまな施策を展開しています。さらに新型コロナウイルス感染症が深刻化するなか、喫煙が重症化要因の一つであることを社員へ啓発し、禁煙推進を一層強化しています。

今後も当社は、社員の喫煙率をさらに低下させるとともに、当コンソーシアムへの参画を通じて、禁煙環境作りの支援をしてまいります。

株式会社エムステージホールディングス

当社は企業向け産業保健サービスを展開し、健康経営を支えるという立場より、皆さまのモデルとなることを目指して健康経営に注力しています。

主な取り組みとして、1人最大3回・6万円の禁煙外来の費用負担を行っています。非喫煙者へは「健康増進ボーナス」として健康診断のオプション健診を年2万円まで負担し、また非喫煙と合わせて年間で有休消化50%以上、BMI標準値などの目標を達成した社員には3万円の「健康増進達成手当」を支給しています。4月より就業時間内全面禁煙とし、取り組みを加速させました。

withコロナにおける重症化リスクを減らし、社員の健康を守るため、現在14%の喫煙率を、22年に10%以下とする目標達成を目指します。

オムロンヘルスケア株式会社

当社は企業ミッションである「地球上の一人ひとりの健康ですこやかな生活への貢献」を実現するために、社員自らが心身ともに健康で、好奇心に満ち溢れ、失敗を恐れず元気にチャレンジし続けることが重要と考え健康経営を推進しています。

禁煙推進では経営トップの「喫煙ゼロ」宣言のもと、①サイネージやセミナーを活用した啓発教育 ②就業時間内禁煙について就業規則化、敷地内禁煙等環境づくり ③喫煙者のチーム制による卒煙チャレンジや禁煙費用補助、達成者への社長表彰といった治療・支援サポート の3本柱で推進しています。今後も、2025年度社内喫煙ゼロ実現を目指し、禁煙推進に取り組んでいきます。

協和キリン株式会社

協和キリングループでは、コロナ禍以前に増して、「従業員全員の挑戦」と「丁寧なコミュニケーション」が重要と考えています。
活動自粛を余儀なくされた実業団卓球部による「腰痛や肩こりに効くストレッチ・トレーニング」の周知、オンラインによる特定保健指導、オンライン懇親の為の費用補助、および、原則在宅勤務の本社勤務者には各人の近況を毎週共有、等を行いました。

また、「喫煙者全員の禁煙への挑戦」、「四半期毎の喫煙率共有による継続的な啓蒙」、および、「事業場長から直接のメッセージ」等により、昨年10月時点では約800名が喫煙していましたが、当年5月時点では約400名が1ヶ月以上の禁煙に成功しています。

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社(※2020年9月1日より新会員)

従業員の「健康保持・増進」は、重要な経営課題の一つと考え、「Road to 100」100歳でも元気な体でいられることを目指し、「健康第一」の企業風土を醸成していきます。

当社は、この活動を「Sawayakaチャレンジ!!」とし、「運動」「禁煙」「休息」「食事」「睡眠」の5つのカテゴリーで健康増進に努めています。今年は「受動喫煙」に関する健康増進法が施行されたことに伴い、2020年1月1日より「就業中は全面禁煙」、また、7月1日の世界禁煙デーに合わせ、社長メッセージを全社配信、同時に「Sawayaka卒煙チャレンジ(禁煙サポート)」を展開しています。

社員一人ひとりが健康でいきいきと働くことができる職場を実現するために、引き続き積極的に「健康保持・増進」に取り組んでまいります。

三京化成株式会社

当社は、たばこがその生産段階から消費、廃棄されるまでの各段階で環境破壊の原因となっているという側面に注目し、「公私ともに充実した生活を送るために欠かせない“健康”の増進」及び「喫煙による環境破壊の低減」を目的に、環境ISO(14001)の取り組みとして、禁煙推進を開始致しました。

専門家を招いての講演会や、禁煙推進キャンペーンである「禁煙チャレンジ」を毎年開催し、2016年に28.7%であった喫煙率は16.7%となりました。新入社員の募集要項にも、禁煙推進企業であることを謳って採用活動を行っております。今後も禁煙を推進し、社員の健康と環境破壊の低減を目指します。

塩野義製薬株式会社

当社は従業員が生き生きと仕事に臨める環境を様々な面から提供することを健康経営の基盤と考えています。喫煙に関しても本年4月、たばこの煙の影響を「絶対に」受けない職場・家庭・社会環境を実現する強い決意を込めたシオノギグループ“『絶』煙宣言”を発出しました。従業員本人の喫煙と周囲の方々の受動喫煙を考慮した対策として、就業時間内の完全禁煙を含む就業規則の改訂を進めています。

さらに、オンライン禁煙プログラムの利用促進などを通じたサポートを行うため、喫煙者・非喫煙者の双方からなる組織横断的な禁煙推進チームを発足させました。グループが一丸となり1日も早い「喫煙率ゼロ」の達成を目指してまいります。

株式会社資生堂

当社では、企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」を実現するために、美と健康を活力の根源と捉え、社員やその家族が自ら美しく健やかに生活するための取り組みを推進しています。

特に喫煙は新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高いとされていることから、喫煙対策は当社グループにおける喫緊の重要な健康課題と捉えています。今年度は禁煙治療費を全額補助する施策「禁煙ヴィクトリー2020」(資生堂健康保険組合主催)の案内DMに担当役員メッセージを同封のうえ喫煙者全員に送付する取り組みの実施等を通じて、さらなる喫煙率低下を目指していきます。

ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ

1943年から企業理念「我が信条(Our Credo)」において社員に対する責任を明文化し、「健康経営」を経営上の重要戦略と位置づけています。社員一人ひとりが健康で幸福であることが顧客に高品質な製品やサービスを届けることにつながると考え、さまざまなトレーニングやサービスの提供、オフィス環境作りに取り組んでいます。在宅勤務中はエナジーブレイク(小休憩)や独自アプリを使った運動を推進し、社員の生産性やモチベーションの向上を図っています。

また昨年導入したオンライン診療禁煙プログラムでは、参加者の80%以上が禁煙に成功しています。今後も働き方や健康についての発想の転換に向けて全社員で取り組んでいきます。

SOMPOひまわり生命保険株式会社

当社は、社員とその家族の健康維持・増進を支援することにより、一人ひとりが健康を実感し、そしてお客さまの健康を応援する「健康応援企業」として、健康経営を推進しています。新型コロナウイルス感染症の影響により、新しい生活様式や新たな働き方を見据えた施策の検討が急務ですが、そのベースとなるのは基本的な健康管理であり、健康管理が感染症予防にも有効であるということを再認識しました。

また、テレワークやTV会議などの新しい働き方による生産性向上の可能性を進めるだけでなく、同時に社員の心身の健康維持・増進の必要性を実感しています。特にコロナ禍において喫煙が健康に悪影響をもたらすことがより明らかなものとなり、これまで以上の禁煙推進策を検討・実行していきたいと考えています。

株式会社ダイアナ

プロポーションづくりの総合コンサルティング企業として、トータルビューティーを軸に「美しくなること」の体験と感動を提供しております。約750のフランチャイズ店舗の本部として、社員が健康であることは必要不可欠です。

禁煙活動としては、就業時間中の全館禁煙はもちろんのこと、喫煙による健康リスクを視覚的に表し、喫煙者への教育・禁煙啓発を実施、また、専門家との相談機会や禁煙支援制度の創出し、社員一人ひとりの目線に立って、禁煙浸透を実現すべく体制を整えています。

「心身ともに健康で自信に満ち溢れた笑顔」を実現し、みんなが幸せになるご機嫌経営の実現を目指し、健康で笑顔あふれる会社づくり、社会づくりを目指していきます。

日本アイ・ビー・エム株式会社

当社は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を機に、従来、人事制度に組み込まれていた在宅勤務をはじめとするリモートワークを、派遣社員や契約社員といった従業員以外の社員にも拡大して実施しています(業務上出勤が必須である社員を除く)。機密データの安全性を維持するなど高いセキュリティーを確保しながら生産性を高めるリモートワーク環境を強化し、働き方の変化に柔軟に対応しています。

在宅勤務の場合、健康管理は個人に委ねられがちで、特に喫煙のような依存度の高い行動は助長されるリスクが懸念されます。そこで全社員向けのニュースレターにて、毎月22日の禁煙デー(スワンスワンの日)の啓蒙活動を2020年5月から開始しました。喫煙と新型コロナウイルスの関係や、在宅であっても周りにいる家族などの受動喫煙の影響に配慮しながら、リモートワーク環境下においても社員の禁煙に対する意識を高める取り組みを進めています。

ファイザー株式会社

当社は「患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす」という企業目的のもと、研究開発型の医薬品企業として医療用医薬品とワクチンを提供し、患者さんのQOLの向上と健康寿命増進に貢献しています。

また、全社員の健康増進も非常に重要と考えています。とりわけ社内禁煙活動においては、2006年の名古屋工場敷地内の全面禁煙を皮切りに10年以上活動を継続した結果、2019年10月時点で1.6%まで低下させることができました。ニューノーマルのもとでも変わらず社内禁煙活動を継続し、2020年終了時の喫煙率0%の目標達成を目指し、引き続き取り組んでいきます。

ロート製薬株式会社

当社は2020年4月迄に喫煙率ゼロを目標に卒煙に向けて全社をあげて取り組んでまいりました。
禁煙ダービーなど当社オリジナルの企画で、社員が楽しみながら自発的に卒煙に向けて取り組んでいたところに、今回のコロナも追い風となり、禁煙率99.9%を達成することができました。数名残った喫煙者も今は頑張って禁煙にトライしております。

就業規則等で罰則を与えるのは当社の方針ではなく、あくまでも自ら喫煙の害に気づく「自立した健康人財」を育成する事を目指しております。今後も喫煙率ゼロになるまで社員に寄り添いながら引き続き活動を続けてまいります。

 


 

【禁煙推進企業コンソーシアム概要】
名称:禁煙推進企業コンソーシアム

【禁煙推進企業コンソーシアム 参加企業および団体】(33企業/団体 50音順)

  • 株式会社IDホールディングス
  • アフラック生命保険株式会社
  • 株式会社イトーキ
  • 株式会社AHS
  • 株式会社榮太樓總本鋪
  • 株式会社エムステージホールディングス
  • 株式会社MTG
  • 株式会社オートバックスセブン
  • オムロン ヘルスケア株式会社
  • 協和キリン株式会社
  • 医療法人社団こころとからだの元氣プラザ
  • コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社
  • 佐藤製薬株式会社
  • 三京化成株式会社
  • 塩野義製薬株式会社
  • 株式会社資生堂
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ
  • 株式会社SKYグループホールディングス
  • SOMPOひまわり生命保険株式会社
  • SOMPOヘルスサポート株式会社
  • 株式会社ダイアナ
  • 株式会社ダイナム
  • 中外製薬株式会社
  • 公益社団法人 東京都医師会
  • 日本アイ・ビー・エム株式会社
  • 日本光電工業株式会社
  • 公益財団法人日本対がん協会
  • ファイザー株式会社
  • ミサワホーム株式会社
  • 株式会社メディヴァ
  • メドケア株式会社
  • 株式会社龍角散
  • ロート製薬株式会社
  •  

    【主な活動内容】
    より健康的な企業を目指すため、コンソーシアムとして、各企業における喫煙率のマイルストーンを設定し、目標達成をサポートします。また、各社の喫煙率低下に向けた具体的な施策を共有し、定期的な情報発信をしていきます。

    【ホームページ】
    https://kinen-support.com

    【お問い合わせ先】
    禁煙推進企業コンソーシアム 事務局
    〒108-0072 東京都港区白金3-7-18-501
    E-mail:info@kinen-support.com
    事務局担当:米田哲郎

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