2019年10月28日(月曜日)

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるマラソン・競歩大会の実施に関する東京都医師会の意見について

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東京都医師会は医療を専門とする立場から、これまで2回にわたり「熱中症等対策に関する要望」と「マラソンスタート時刻の繰り上げに関する要望書」を提出いたしました。

今回、突然IOCよりマラソン・競歩の開催地が札幌市へ変更になる報道がなされておりますが、特にマラソンコースは東京ならではの魅力を内外に発信するとともに、救急・災害・テロ対策、熱中症対策等も極めて重要な事項と受け止めており、東京開催に向けて準備をしている東京都医師会の意見を下記のとおりとりまとめました。

本件は、小池百合子 東京都知事、森 喜朗 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長、橋本聖子 東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣にも意見具申をお送りしております。

 


 

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるマラソン・競歩の実施に関する東京都医師会の意見について

令和元年10月28日

日本医師会・東京都医師会は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における熱中症対策等について、国、東京都及び組織委員会に医療の専門家としての立場から、いろいろとアドバイス及び提言をしてまいりました。

特に日本の湿気の多い猛暑の中で行われるマラソン・競歩の熱中症の危険については、3年前から暑さ対策の重要性を認識し、様々な提言をしてまいりました。
医学的知見に基づく競技時間の繰り上げや、日光を避けることが暑さ対策の中で有効性が高いことから、日陰を多く作るコース設定や天幕等の設置を求めてきました。
その中でマラソンの開始時間を医学的知見に基づき5時半とすることを提案しましたが、再三の要望により開始時間を繰り上げていただいたものの、6時という科学的根拠に乏しい時刻に落ち着いてしまったのは残念な思いを持っていました。

本年9月に実施したマラソンのテストイベントにおいては、コースでの観客の状況、警備のポイント、給水所の増設や氷の配布、アイスバスの設置など、選手をはじめ観客を含めた熱中症対策、テロ等への対策を含め多くの知見を得ることができたと聞いています。

こと熱中症の危険に絞れば、札幌開催が勧められると思いますが、東京の名所を回るという東京オリンピックならではのコースのもつ魅力、熱中症以外にも救急・災害・テロ対策等も極めて重要であり、それらのことも東京都医師会は、救急関係者、消防庁、警視庁と数年間にわたり協議をしながら準備を進めてきた実績があります。
札幌で、これらの準備態勢が今後しっかりと整うのであれば、札幌開催に反対するものではありませんが、こうした総合的な対策が間に合わないのであれば、今後も、できるだけ暑さ対策に対する努力を重ねながら、東京での開催に全力を尽くすべきであると考えています。

その中で、マラソンの競技開始時間については、熱中症に対する大きな危険を避けるため、暑さ指数31を超えない時間帯に競技が終了するよう、午前5時以前の競技開始を改めて要望したいと思います。

競歩については、現在の全く日陰のないコース設定は見直すべきであり、コース変更、全コースへの天幕設置など、選手、競技審判、スタッフ、観客をしっかりと熱中症から守るべく、再検討をお願いしたいと思います。

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