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母乳から感染する白血病
-HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス-1型)感染

HTLV-1とは何か

2011年4月から、妊婦健康診査の項目にHTLV-1の検査が加えられ、費用が助成されることになりました。ほとんどの方が何の検査だろうと思われたでしょう。このウイルスが母乳から乳児に感染すると、後に白血病を発症する人がいることが知られています。このような母子感染をなくすために取り入れられた検査です。

人の血液には白血球という細胞があり、細菌感染などからからだを守っています。この白血球のなかのリンパ球〈ヒト(H)Tリンパ球(TL)〉に感染するウイルスの1型(V-1)を略してHTLV-1と呼ばれています。このウイルスは1976年に日本の研究者(高月清)によって発見されました。

感染の経路

感染したリンパ球がしていないリンパ球と直接触れ合うことで感染します。日常生活で感染することはありません。母子感染のほか、輸血や性交によって感染します。母子感染は母乳を介して感染するのが主ですが、胎内で胎盤を通じて感染したり、分娩時に産道で感染する場合もあります。

HTLV-1に感染すると、40年以上経過してから1,000人に1人の割合で成人T細胞白血病(ATL)を発症します。HTLV-1感染によって白血病を発症する人は母子感染の場合に多く、成人してからの輸血や性交によって感染した人は白血病に至ることが少ないことが統計上示されています。HTLV-1に感染している人は国内で108万人と推計されています。地域差があり、南九州、沖縄に多いのですが、人の移動により大都市圏にも次第に拡がってきています。感染している人は今でも増加しています。

スクリーニング検査・精密検査

スクリーニング検査と言って、感染している疑いのある人を見つけるために、まずウイルスの抗体を持っている(抗体陽性)かを検査します。妊婦は妊娠30週までに検査をします。この検査で抗体陽性の場合は、ウイルスに感染しているかを確認するための精密検査を行います。何度か検査していくうちに、次第に抗体価(抗体が反応する強さ)が上がっていく人は注意が必要です。スクリーニング検査で抗体陽性だった人でも精密検査で陰性と判定される人もいます。精密検査で陽性の人でも、後に白血病を発症しない人もいます。

感染を抑えるには

白血病は、発熱、倦怠感、リンパ節が腫れるなどの症状から始まり、後に肺炎などの重症の感染症を発症します。急性型や慢性型などの病型によって経過が異なります。治療には薬や骨髄移植などの方法があります。

最も重要なことは感染を抑えることです。長期間の母乳による育児での感染率は15〜20%と高いので、以下の方法により感染を抑えます。

(貽を家庭用冷凍庫で24時間冷凍(急速冷凍は避ける)し、解凍後にほ乳びんで与える。

∧貽栄養は、出生から3ヵ月間の短期間にする。母親から受けついだ免疫力があるので、3ヵ月程度はウイルスに対抗できると考えられている。

人工栄養にする。これらの方法により感染率が3%以下に抑えられます。新生児は産科あるいは小児科で3年間は経過観察する必要があります。ウイルス抗体陽性の母親からの出生児は3歳を過ぎてから検査が必要です。

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