麻しん・風しんなど予防接種の変更点について
今回の改正の主な内容は、麻しん排除計画に基づく麻しん予防接種の3期及び4期の定期予防接種の実施などにかかる予防接種実施規則及び定期の予防接種実施要領などの改正に伴うものであり、概要は以下のとおりである。
(1)麻しんの3期及び4期の定期予防接種に関するもの
我が国で、2007年春、10代から20代を中心とした年齢層で麻しんの流行が発生し、多数の学校が休校するなど社会的な混乱が起きた。このことは、現在の10代及び20代の人たちには麻しんワクチンの接種を受けていないで、かつ、麻しんに罹患していない者が一定数いること、さらに、1回目のワクチン接種で免疫を獲得できなかった者が存在し、かつ、自然感染によるブースター効果(免疫増強効果)を受ける頻度が低くなっていたため、発生予防に十分な抗体を保有していなかったことが要因と考えられている。
これを契機として、厚生労働省では、麻しんが人から人へ感染しやすく、ときに死に至る重大な疾患であることや、世界保健機関(WHO)が提唱している「日本を含むアジア西太平洋地域における麻しんを2012年までに排除(e1imination)する。」との目標をも踏まえて、我が国における麻しん発生を2012年までに排除し、その後も維持することを目標とした「麻しん排除計画」を策定した。その具体的取り組みの一環として、平成20〜24年度までの5年間、中学1年生と高校3年生に相当する年齢の者を対象に麻しんの3期及び4期の定期予防接種を実施することとなった。
なお、風しんについても麻しんと同様に3期及び4期の定期予防接種を実施することとなった。
これらの制度改正に伴う事項についてガイドラインの改正を行った。
(2)予診票の改正に関するもの
麻しん風しんの3期及び4期の定期予防接種の実施に関連して、予防接種予診票を以下の3区分に改正した。
- 乳幼児及び小学生を対象としたもの(様式第二)
- 麻しん風しんの3期及び4期の定期接種対象者で、
- ア 保護者が同伴する者及び既婚者を対象としたもの(様式第三)
- イ 保護者が同伴しない者を対象としたもの(様式第四)
(3)麻しん風しん混合ワクチンの使用に関するもの
麻しんワクチン又は風しんワクチンを接種する場合には当該単抗原ワクチンを使用することができることとなっているが、平成19年の麻しん流行時のワクチン事情並びに対象者世代の風しんに対する免疫保有状況等を踏まえて、麻しん及び風しんの第1期、第2期、第3期又は第4期の予防接種において、麻しん及び風しんの予防接種を同時に行う場合は、麻しん風しん混合ワクチンを使用することとなっている。また、今回、麻しん又は風しんのいずれかに既罹患である場合であっても麻しん風しん混合ワクチンを使用することができるようになった。
(4)DPTワクチンの使用に関するもの
ジフテリア、百日せき、破傷風の1期予防接種にはDPTワクチンを使用することになっているが、今回、ジフテリア、百日せき、破傷風のいずれかに既罹患であってもDPTワクチンを使用することができるようになった。
(5)予防接種の接種間隔に関するもの
ジフテリア・百日せき・破傷風(DPT)、急性灰白髄炎(ポリオ)及び日本脳炎の接種間隔の表現について、従来「○○週間から○○週間まで間隔をおいて」などと定められていたものを、以下のように改められた。
- ジフテリア・百日せき・破傷風(DPT)の1期初回接種の接種間隔について、「3週間から8週間までの間隔をおいて」を「20日から56日までの間隔をおいて」に。
- 急性灰白髄炎(ポリオ)の接種間隔について、「6週間以上」を「41日以上」に。
- 日本脳炎の1期初回の接種間隔について、「1週間から4週間まで」を「6日から28日まで」に。
(6)集団接種の場合の安全基準の遵守規定に関するもの(市区町村にかかる事項)
集団接種を実施する場合には、極めて希ではあるが起こりうる重篤な副反応症状に対応するため、次の安全基準を遵守することとした。
1. 経過観察措置 2. 応急治療措置 3. 緊急搬送措置
(7)予防接種副反応報告にかかるもの(市区町村にかかる事項)
重篤な副反応報告があった場合は、直ちに厚生労働大臣に報告することとなった。
「予防接種ガイドライン」(2008年度版)より抜粋
監修 予防接種ガイドライン等検討委員会
発行 財団法人予防接種リサーチセンター