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NPO活動の日々――
胃がんを早期に発見するために
NPO法人
日本胃がん予知・診断・
治療研究機構理事長
三木 一正先生 |
日本人のがんの中で、胃がんが非常に多いことは皆さんご存知のことと思います。そこで健康診断では40歳以上を対象にバリウムを飲む胃部レントゲン間接撮影検査が行われていますが、より簡単に早く胃がんを発見できる方法はないかと1980年代から研究に没頭し、研究成果の実用化と普及のために、日々活動している三木先生からお話を伺いました。
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| NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構で執務する三木先生 |
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新しい検査法を普及させたい
胃がんの発生につながる胃粘膜の状態と、ペプシノゲンという消化酵素ペプシンのもととの間に関係のあることが、1980年代初めに海外で次々に発表されました。それを応用したペプシノゲン法という検査法を、1987年に三木先生が開発しました。胃がんへのかかりやすさが血液によって簡単に調べられる検査法で、厚生労働省から委託されてさらに研究を深めました。調べ方が異なるレントゲン間接撮影、あるいはピロリ菌検査とペプシノゲン法を組み合わせることで、より早くより簡単に検査できると、先生は提唱しました。
「厚生労働省に提言したのですが、厚労省の立場としてはその検査で胃がんによる死亡者数がどれくらい減ってきたか、統計的裏づけが欲しいというわけです。調べるには十数年が必要で、その間に早期発見できる胃がん患者を見逃してしまうかもしれない。それがもったいない気がしました」
それならばNPO法人を立ち上げ、賛同する人を集め世論を盛り上げて、新しい方法を検査に取り入れてもらおうと考えた三木先生は、大学を定年退任した直後の2008年5月にNPO法人の認可申請を行いました。
国内各地、アジアの学会活動を通じて
三木先生の「医師の一日」は、日によって実にさまざまです。学会活動で国内各地を飛び回るどころか、海外出張もしばしばです。
「医学というとまずアメリカですが、人種差・食生活の違いからアメリカでは胃がんが少ない。そこで、出張の半分以上はアジア各国行きになって、3月と7月はシンガポールに行きました。とくに人口が多く経済発展の著しい中国が熱心で、北京がんセンターからコンサルタントとして招待されたので、5月に行きました。僕は国際貢献になると思ってるんですよ」 先生が所属されている学会は、日本消化器内視鏡学会、日本消化器がん検診学会、日本がん検診・診断学会など非常に多いのですが、その学会名が、一貫して消化器がんと検診に取り組んできた先生の足跡を物語っています。
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三木教授定年退任記念誌として作成された冊子「ペプシノゲン法と共に」 |
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NPO法人の準備団体時代に発行したリーフレット |
多忙な毎日――動き始めたNPO
これらの研究活動に対して、東邦大学定年退任を間近に控えた2008年2月に高松宮妃癌研究基金学術賞が贈られました。当時はNPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構もまだ構想段階だったため、一般向けのパンフレットを作って心当たりの方々に郵送するのは先生個人の負担で行っていました。それでも次第に反響が多くなってきていました。
そこで、高松宮妃癌研究基金学術賞の副賞である賞金をNPOの資金とすることこそ、今までの研究成果を生かす道ではないかと三木先生は決意しました。
やがて8月の終わり頃、東京都から来た1通の手紙。8月20日に認可がおりたという通知でした。
「嬉しかったですね。申請書類にほとんど誤りがなかったということも、異例の速さで認可された一因かもしれませんけど」
NPOとは民間の“特定非営利活動法人”のことです。
「NPOは儲けてはいけないことになっていますが、利益を関係者で配分してはいけないという意味です。NPO活動で利益を得て事業を拡大して、ペプシノゲン法を実際に検査項目に加えてもらう、日本だけでなく中国やアジアの国々にも、という目標を持っているんですよ」
今日の三木先生は、ここ数日でまたたくさんたまった「入会申し込み」のファクシミリの一枚一枚に目を通し、返信を出す仕事で一日が終わりそうです。実際に一部の企業内健康保険組合や市町村で、この方法を採用するところもぼちぼち出てきました。
「おかげさまで毎日、各地の病院・医院の先生方から入会の希望があり、それぞれ会費3000円を出してくださるというので、活動も軌道に乗りそうです。機関紙を年6回程度発行して、病院の窓口などでチラシを配布しようと思っています」
机にファクシミリの申込書が山のように積まれています。文字通りライフワークとして研究を進め、論文執筆や学会発表によりバックアップするという正攻法の姿勢を貫く三木先生の晴れやかな笑顔が印象的でした。
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三木 一正先生
1968年東京大学医学部卒業、71年東大第一内科入局、96年ワシントン大学客員教授を経て、98年東邦大学第一内科教授、2003年より東邦大学消化器内科主任教授、08年定年退官ののちNPOを立ち上げる。日本消化器内視鏡学会をはじめ多くの学会に属し、05年日本対がん協会賞特別賞(朝日がん大賞)、08年高松宮妃癌研究基金学術賞受賞。
「医学部を卒業して、ちょうど臨床研修が終わる頃に胃カメラの開発という大ニュースに接しました。そこで消化器内視鏡を専門にしたいと思って、胃がん検診に興味を持つようになったのです」 |
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