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地元医師会の災害時医療対策

地元医師会の災害時医療対策(18)
江東区医師会
「災害に弱い地域」の災害時医療対策

江東区は、今でこそきれいなゴルフ場やマリーナ、テニス会場ができ、高級マンションが立ち並んでいますが、40年ほど前までは埋め立ても進んでおらず、洪水などの自然災害に悩まされていました。江東区医師会はこうした過去の教訓を忘れず、江東区は「災害に弱い地域」であると肝に銘じて、対策を考えてきました。

江東区医師会の災害時医療への取り組み

災害への医療対策として、大事にしていることがいくつかあります。

第一に「行政と医師会が車の両輪になる」ことです。江東区医師会は深川医師会と城東医師会が合併して平成10年に設立されました。このとき、災害時に江東区医師会が医療救護活動に協力することを定めた「災害時の医療救護活動についての協定書」が区長と医師会長の間で締結されています。

第二に、災害発生時、医療救護活動にあたるそれぞれの機関が日頃から「顔の見える関係」をつくっておくことです。江東区医師会が毎月1回開く防災部会には、江東区の行政担当者、歯科医師会、薬剤師会、柔道整復師会、助産師会にも参加してもらっています。そして、年に1回「江東区災害医療救護体制協議会」の名のもと、消防署、警察署、自衛隊、薬品問屋にも集まってもらい、連携を緊密かつ円滑に行うための話し合いをしています。

第三に、医療関係者のための災害時マニュアルとして「江東区医師会医療救護サイトファイル」を作成しています。これ以前にも様々な災害時マニュアルがありましたが、どれも文字が多くわかりづらいものばかりでしたので、「シンプル」をテーマに作り直し、新たに江東区にきた医療関係者もすぐに理解できるものにしたのです。冊子でなくファイル形式にして、災害医療救護班を具体的に記した「差し替え版」の部分については、新しい情報や教訓、災害対策の考え方を反映した最新のマニュアルにバージョンアップできるようにしています。

災害時の医療機関

災害が起こり、けがをしたとき、皆さんはどうしますか? 多くの方は近くの病院に向かうのではないでしょうか。こうした人たちに安心して医療を受けてもらえるよう、江東区医師会では発災から72時間までは「緊急医療救護所」として病院前でトリアージ*と初期治療を行うことにしています。それ以降は、病院に一番近い小中学校を避難所医療救護所とします。

本来であれば緊急医療救護所はすべて病院前に設置したいところですが、病院によってはスペースがないため、近くの小中学校に設置することもあります。このため平成28年の時点では緊急医療救護所が病院と小中学校に分かれている地区もありますが、近い将来にすべて病院前を緊急医療救護所とする予定です。

江東区内には17の病院があり、そのうち11病院が二次救急病院といって、外傷などに対応できる設備を整えています。この中の4病院は「災害拠点病院」として都から指定され、災害が起きたときの医療救護活動の中心となり、7病院は「災害拠点連携病院」として、災害拠点病院に協力するよう求められています。残りの6病院は慢性期病院や専門病院などで、けが人への対応はできませんが、「災害医療支援病院」として力を貸すことになっています。このように、すべての病院が参加して医療救護活動にあたることが決められています。

医薬品・医療材料の備蓄

医薬品や医療材料の準備もしておかなければなりません。いざ救護所を設営しても、肝心の薬や注射器、包帯などの医療材料がなければ十分な医療は提供できないからです。さらに、発災直後から72時間は被災地の外からの救援はあまり望めず、その地域にある医療資源で対応するしかないという、阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓に基づいているのです。

備蓄する医薬品の管理体制も、日頃から整えておかなくてはなりません。災害発生後に緊急医療救護所を設置する病院に備蓄するのが理想的ですが、都内の病院にはそのスペースの余裕がありません。そこで、病院の近くの薬局にも医薬品を備蓄しておいてもらい、災害後はそれを緊急医療救護所に持ち寄り災害時薬局を同時に開設してもらうことにしています。

いざというときに備えての課題

昨年3月の熊本地震では、地震が起きて少し時間が経つと自宅は倒壊してしまうかもしれないとの不安から多くの人が、床面積が広くて建物も頑丈に見える施設や慢性期病院に、けがをしていなくても集まるということが起きました。

基本的に病院は、すでに入院している患者さんを守ることが第一の役目とされており、地震で外傷を負った方々は院内には入れず、病院の玄関前で対応することとされています。しかし、特に海抜0m地帯といわれる江東区の場合、津波や川の氾濫も想定して低層の一軒家の方々の受け入れ体制を考えるべきではないか、という議論も出ています。

また、事前に決めた通りに上手くいくことはまず考えられませんし、何より災害対策は特定の人たちだけでなく、地域の人たちが皆で考えるべき課題です。日ごろの防災対策をぜひよろしくお願いいたします。

災害時の医療救護活動場所

緊急医療救護所(発災から72時間まで)

災害拠点病院
  • 江東病院 前
  • 順天堂東京江東高齢者医療センター 前
  • 昭和大学江東豊洲病院 前
  • がん研究会 有明病院 前
災害拠点連携病院
  • 東京城東病院 前
  • あそか病院 前
  • 第一亀戸小学校 内(※友仁病院)
  • 扇橋小学校 内(※深川立川病院)
  • 数矢小学校 内(※木場病院)
  • 砂町小学校 内(※藤病院)
  • 枝川小学校 内(※鈴木病院)

※緊急医療救護所の災害拠点連携病院前等への設置変更について、引き続き検討していく。

災害医療支援病院
  • 清湘会記念病院
  • 愛和病院
  • 寿康会病院
  • 東京都立東部療育センター
  • 鈴木リハビリテーション病院
  • くじらホスピタル

●避難所医療救護所(発災から72時間以後)

  • 第四大島小学校
  • 第五砂町小学校
  • 豊洲西小学校
  • 有明小中学校
  • 亀戸中学校
  • 深川第七中学校
  • 第一亀戸小学校
  • 扇橋小学校
  • 数矢小学校
  • 砂町小学校
  • 枝川小学校

(江東区医師会 防災担当理事 竹川勝治先生)

*負傷者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと

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